「アナウンサーたちの戦争」2023-10-31

2023年10月31日 當山日出夫

「アナウンサーたちの戦争」

八月の放送のとき、見損ねた。録画し損ねた。再放送しないのかと思っていたのだが、日曜日に『どうする家康』をBS4Kで見ていたら、続いてはじまったので、これを録画した。BS4K放送のことは、NHKは広報していないと思う。さて、NHKの内部では、この番組はどのように評価されているのだろうか。

私としては、このドラマは評価したいと思う。立場によっては、今更、昔のことを語ってどうなるのかとも言えよう。あるいは、今の日本のジャーナリズムの国際的な評価ともかかわってくる。強いていえば、自虐的であるとも見ることができよう。また、放送人の矜恃ともとれる。

しかし、放送……このドラマの場合はラジオ放送であるが……も、時代の流れの中にあったということを、確認する意味で価値があると考える。

戦時中のNHK(JOAK)のことは、朝ドラ『本日も晴天なり』の再放送を見ている。

ドラマの本筋とは関係ないことで、気になることを書いてみる。

玉音放送のとき、アナウンサー(和田信賢)が、聴取者に対して、起立をうながしたということは、何かで見たと記憶するが確かに憶えていない。玉音放送の場面は、これまで、多くのドラマで描かれてきている。そのとき、聞いている人はどうしていたのか、気になっていたことである。

また、昭和天皇の玉音の内容だけで、日本がポツダム宣言を受諾し、無条件降伏することになったということは、理解できなかったと思っていた。あまりにもそのことばは難しすぎる。また、当時の証言などでは、雑音が多くて聞き取れなかったというものがあったと思う。これは、アナウンサーの解説があって、始めて聞いていた人が納得できるものになったと理解していいだろう。

また、この日(八月一五日)の新聞がどうだったかということもある。

いったい実際のところ、国民は、どのようにして日本の敗戦ということを知ったのだろうか。

それから、番組の中で使われていた当時の記録映像。いくつかについては、カラー化してあった。私はこの処理には反対である。たしかに、今のデジタル技術でカラー化することは可能である。だが、その記録が残されたその時代の技術で何が可能であったかという視点も重要である。白黒でしか残っていない記録映像は、そのまま使用するのがふさわしいと思っている。

まれにカラーで残っているものもある。アメリカ側の撮影したものに見いだせる。カラーフィルムは、当時としては貴重である。その貴重なカラーフィルムで残したということも、また意味のあることである。

さらに思うこととしては、戦前、戦中のラジオ、特にアナウンサーのことは、これでいいとしても、戦後、GHQの支配下にあったときのラジオはどうだったのか。これも気になる。あるいは、戦時中のラジオのことを語るよりも、よりハードルが高いことになるのかもしれない。

出てこなかったのが、東京ローズ。これには、NHKは関与していなかったということでいいのだろうか。

靖国神社で招魂祭が行われ、それがラジオで中継されていたことを、このドラマで知った。

『ラジオと戦争-放送人たちの「報国」-』(大森淳郎、NHK出版)は買ってある本である。これは読んでおきたい。

2023年10月30日記

レギュラー番組への道「図書館名探偵の事件簿」2023-10-31

2023年10月31日 當山日出夫

レギュラー番組への道 図書館名探偵の事件簿

福井県立図書館は、有名である。

やまもも書斎記 2021年12月2日
『100万回死んだねこ』福井県立図書館
https://yamamomo.asablo.jp/blog/2021/12/02/

たぶん、この番組の企画は、この本をもとに、実際の図書館の司書に取材して構成したものなのではないかと推測する。

宮川陽子さんは、SNSで名前は知っている人なのだが、テレビで顔を見るのは初めてになる。

それにしても、図書館にはいろんな依頼が来るものである。そして、それに対する司書の対応がいい(番組で紹介されていた限りということかもしれないが。)

学生の時、大学の図書館はよく使った。私の学生の時は、まだ三田の古い図書館……重要文化財である……を使っていたころである。新しい図書館ができたのは、大学院の時だったが、あまり使ったという記憶がない。図書館には、レファレンス室があったが、実際にそこで、何かの調査の依頼をしたということはない。慶應の文学部には、図書館・情報学科があり、この分野で、その当時、日本で最もというかほとんど唯一の学科、専門研究、教育の機関であることは、卒業してから認識するようになったというのが実際のところである。

この番組の舞台となっていたのは、地方の公共図書館。実際に依頼のあった本探しの事例が紹介されていた。

重要だと思ったのは、司書の実際の仕事についてである。番組で紹介されていた、本探しはその一部ではあるのだが、しかし、重要な仕事である。来館した依頼者と一緒に図書館のなかで本を探してみる。学校は答えを教えてくれるところだが、図書館は答えを見つけるところである、ということが語られていたが、なるほどと思う。

魔法使いになるための本を探しに来た子供に対して、人間は魔法使いにはなれないと言うのは簡単かもしれない。そうではなく、一緒に本を探してみるということは、教育的に意味のあることだと思う。

それから、牛乳瓶の話し。よく昔の牧場のことを見つけてきたと感心する。地方の資料は、やはりその地方において、保存し残していかないといけない。(しかし、戦前の牛乳瓶が、どういう事情で今日まで残っていて、人の発見することになったのだろうか、見つけた人のことも興味がある。)

この番組は、続編に期待したいと思う。

2023年10月29日記