ブラタモリ「美の極み・錦帯橋」2023-11-01

2023年11月1日 當山日出夫

ブラタモリ 美の極み・錦帯橋

錦帯橋には行ったことがない。

見ていて面白かったことがいくつかある。

岩国の町の錦帯橋周辺では、旧来の地名を残そうとしている。公式の住居表示ではないが、昔はこのような地名であったと残しておく価値は十分にある。これは、いい試みだと思う。

驚いたのは、市に錦帯橋課という部署があること。これも岩国の町ならではのものだろうが、町の人たちが錦帯橋を大切にしているからこそのものであろう。

また何よりも重要なのは、錦帯橋が架けられてから今日にいたるまで、実際に人間が通る橋として使用され、そのためにメンテナンスが行われてきているということだと思う。保存のためになら、人の通行を禁止してしまこともできるだろうが、そうはしていない。現役の橋として使っていく。修復も必要になる。そのための技術も継承していく必要がある。

錦帯橋の模型を組み立てるところは面白かった。

また、岩国の吉川家のことも興味深い。『どうする家康』では、そろそろ関ヶ原の合戦になる。さて、吉川のことはどう出てくるだろうか。

2023年10月29日記

100カメ「ファッション専門学校」2023-11-02

2023年11月2日 當山日出夫

100カメ ファッション専門学校 日本のオシャレをリードする若き才能たちの青春物語!

文化服装学院は、かろうじて名前を知っているぐらいである。まあ、ファッションとはまったく無縁の生活を送っている。まったく知らない世界のことである。

いろいろと面白いところがあった。

これまで100カメはいろんな場所で取材してきたと思うが、カメラの存在を意識して反応してくるというのは、ほとんど無かったと思う。この番組の作り方自体が、登場人物にカメラの存在を意識させない、という方針で作ってきたかと思う。だが、この回は違った。登場する生徒たちが、カメラを意識している。これは、ファッションという世界ならでは、特異性と言っていいのかもしれない。

このごろでは、青春などということばはあまり使わないのかもしれないが、この回で描かれていたのは、まさに青春だった。それから、なにかものを作ることの、苦労と楽しさ、これがよく出ていたと感じた。

外国からの留学生がかなりいるということも、興味深かった。卒業後の進路は様々なようだが、日本にファッションを学びにきて、その後の人生はどうなるのか、気になるところでもある。

2023年11月1日記

ドキュメント72時間「新宿・歌舞伎町 眠らない美容室で」2023-11-02

2023年11月2日 當山日出夫

ドキュメント72時間 新宿・歌舞伎町 眠らない美容室で

歌舞伎町には学生のころに行った記憶がある。もう半世紀近く前のことになる。『ぴあ』が発刊されたころで、映画を見に行ったかと思う。その後は、まったく行っていない。

ニュースなどで、歌舞伎町のことはよく目にする。はっきりいってあまりいい印象ではない。しかし、そこがある種の人びとにとっては、非常に魅力的な街であり、仕事と生活の場であることは確かである。

歌舞伎町の二四時間営業の美容室。特にそういう客を選んで写したということではないと思うが、いわゆる普通の人は登場していない。ホストが多かった。何故、ホストの仕事をしているのか、その事情は様々なのだろう。これはこれで、いろんな人のいろんな人生があるものだと思って見ていた。

それにしても、歌舞伎町に八〇〇〇から一〇〇〇〇のホストがいるとはおどろきである。ということは、それに群がる女性も数多くいることになる。

これから東京に行くことはあるかもしれないが、歌舞伎町に行くことはないだろうと思う。

2023年10月28日記

ザ・バックヤード「京都国際マンガミュージアム 第2弾」2023-11-03

2023年11月3日 當山日出夫

ザ・バックヤード 京都国際マンガミュージアム 第2弾

マンガの原画を残すことには、たしかに意味があると思う。

興味深かったのは、描き手が、この色は印刷では出せないだろうと思っていながら、原画を描いているということ。竹宮惠子の時代であれば、紙に描いて、オフセット印刷ということであったろう。その時代にあっても、印刷で表現出来る色には限界があった。しかし、それを超えて原画を描いている。

それから、原画’ということで、レプリカを作成する企画。文化財について、レプリカを展示などで利用することはよくおこなわれる。マンガの原画についても、レプリカの制作と、その展示が行われていることは面白い。

だが、実際の原画について、どのような保存処理をすれば、残すことができるのか。保存科学の観点からのアプローチも必要だろう。(このことについては、番組では触れていなかったが、気になるところである。)

今日、デジタルでマンガを制作するようになっている。この場合ならば、デジタルデータを残せばいいということになるだろう。ただ、使用している機材でどのような色空間を使用するか、というあたりの議論はあるかと思う。

また、事業部で実用マンガを製作していることは知らなかった。特に、会社の社員教育や営業などに利用されているとのこと。さらには、医療マンガも多数作られている。信頼できる専門家の監修のもとに作られてものなら、怪しげなネット情報よりも、よほど信用できるといえるだろう。

2023年11月2日記

司馬遼太郎 雑談「昭和」への道「第十回 青写真に落ちた影」2023-11-03

2023年11月3日 當山日出夫

司馬遼太郎 雑談「昭和」への道 第十回 青写真に落ちた影

一九八二年の放送である。

坂本竜馬についても、自由民権運動についても、今日ではかなり評価が変わってきているところもあるのかもしれない。

司馬遼太郎は、自由民権運動をあまり高く評価していない。それは、憲法ができ、国会が開設されると、みんな国会議員になってしまって、運動自体が終わってしまったことにある。

はっきりとそう述べたわけではないが、アジアへの膨張主義は、むしろ民権論者にあるもので、国権論者はそうでなかった、という意味のことに触れたところがあった。さらにうがってみるならば、国権論者は、国家のあり方についてのリアリズムがあったということになるのかもしれない。このあたりの議論、いわゆる帝国主義的な国家運営が、どのような思想、人びとに由来することになるのか、興味深い。

そして、この回は、ジャーナリズム論でもあった。ただ、政府を批判するだけの在野ジャーナリズムを、司馬遼太郎は否定的に見ている。これは、現代ではどうだろうか。政府に対する批判も、政権への忖度でゆがめられているというのが、今日の状況なのかもしれない。あるいは、政権の側が、健全な政権批判ジャーナリズムを育てていくべきである、ということも言えるだろうか。

ところで、この回のタイトルにある「青写真」。もうこのことばは、死語といっていいかと思う。ことばとしては残っているが、青写真の実物は、もう使われることはないだろう。私は、かろうじて、青写真の実際を知っている最後の世代かもしれない。

2023年11月1日記

ドキュメント20min.「ウクライナからの“モノ”ローグ」2023-11-04

2023年11月4日 當山日出夫

ドキュメント20min. ウクライナからの“モノ”ローグ

日本に多くのウクライナからの避難民がいる。これも、このごろでは、あまり報道されなくなってきていると感じる。いったいどれほどの人がいて、どんな生活をしているのか。

この番組では、ウクライナから批難するときに持ってきたモノを軸に、それぞれの今の思いを語っている。モノに込められた思いという視点は、一つの新しい切り口なっている。

また、ウクライナでの出来事を語るとき、二〇一四年のクリミア併合の時点にまでさかのぼって作ってあったことは、意味のあることだろう。

ウクライナの人びとにとって、ロシアとの戦争によって、ウクライナという国家、民族、を改めて自覚することになったことは、確かだろうと思う。(強いていえば、二一世紀になって、旧来の国民国家のナショナリズムが復活したととらえることもできるだろうが。)

ところで、日本には多くのロシアの人びとも生活しているはずである。しかし、今、報道などでは、日本在住のロシアの人びとのことが報じられることはまったくないと言っていいだろう。私としては、日本にいるロシアの人びとのことをあつかった番組があってもいいと思っている。

2023年11月2日記

『ブギウギ』「ほんまの家族や」2023-11-05

2023年11月5日 當山日出夫

『ブギウギ』第5週「ほんまの家族や」

このドラマは、週ごとに話しがまとまっているという作り方をしていない。この週でも、前半と後半で大きく展開が変わった。

香川に行ったスズ子は、自分の出生にまつわる事実を知ることになる。生みの母親に会いに行く。このところ、スズ子は台詞なしであったが、自分の出生の事実を知った心境がうまく演じられ表現されていたと感じる。これまでの朝ドラにはなかったような作り方であった。

この時、もらった時計がちょっと気になる。これから、スズ子の人生のなかでこの時計が再び登場することがあるかもしれない。

週の後半は、スズ子の東京行きのこと。東京から来た演出家に認められる。東京に出ないかと誘いをかけられる。スズ子は、東京に行きたいと思う。これに反対したのが、母親のツヤだった。が、そのツヤも最後にはスズ子の東京行きに同意する。このあたり、スズ子が自分の本当の子供ではないことを知ってしまったのだろうかと、考えるツヤの表情がよかった。

大和礼子が亡くなった。そして、スズ子たちのUSK退団記念講演となる。この舞台のシーンが印象に残る。

ところで、ちょっと気になったのは、作中で出てきた歌。歌っていた歌手の名前が「茨田」だが、「いばらだ」と読んでいた。普通、「まった」あるいは「まんだ」と読むと思っていたのだが、ここは、漢字をそのまま読むということになっていた。(ちなみに、ATOKでは、「まっ」「まんだ」「いばらだ」のどれも変換する。)

また、この歌のシーン。テレビは字幕を表示して見ているのだが、この歌の歌詞では、いわゆる旧漢字が使ってあった。テレビ放送における文字の問題は、常々気にしていることなのだが、こういうふうに旧漢字を使うことは珍しいと思う。

タイ子の踊りのシーンもよかった。さすが本職である。

次週から東京にうつるようだ。楽しみに見ることにしよう。

2023年11月4日記

映像の世紀バタフライエフェクト「巨大工事 世界はどうつながってきたのか」2023-11-05

2023年11月5日 當山日出夫

映像の世紀バタフライエフェクト 巨大工事 世界はどうつながってきたのか

個々のエピソードは、どれも興味深いものなのだが、番組全体として何を語りたいのか、今一つはっきりしなかった。シベリア鉄道だけ、あるいは、パナマ運河だけ、ということで絞った方がよかったかもしれない。英仏海峡トンネルでもいい。

ともあれ、番組でとりあげていた巨大な工事が、その時々の、国家の政治、経済、軍事と強く結びついていることは、重要なことである。この意味では、ロシアが現在も建設しているバム鉄道や、アフリカで中国企業が建設した鉄道など、特に大きな意味があるかと思う。

英仏海峡トンネルを使って、大量の不法移民が大陸からイギリスに押し寄せてきていたということは、日本の報道では見た記憶がない。また、トンネル建設に対して、強い反対意見が昔からあったということも、報道されていなかったと思う。(たまたま、私が目にしなかったということなのかとも思うが。)

番組の意図とはあまり関係ないかもしれないが、記憶にあるところでは、東日本大震災の時のインターネットがある。二〇一一年三月一一日、確かにインターネットはつながった。このとき、Twitterはすでに使っていた。様々な情報がTwitter上に拡散していたのを記憶している。しかし、この時点では、まだスマーフォンは普及の前だったので、リアルタイムで災害の映像がインターネット上に流れるということはなかったと記憶する。災害の映像を伝えていたのは、もっぱらテレビだった。

また、この時、数日後に東京に行く予定が入っていたのだが、取りやめになった。予約しておいたホテルをキャンセルするのに、連絡手段としてつながったのは、電子マールだけだった。それも、普段よりはつながりにくかったと思うのだが、それでもどうにかつながった。

なるほど、軍事目的で、どのような障害があったとしても、なんとかつながるようにということで、インターネットが作られたというのは、こういうことなのかと思ったことを憶えている。

2023年11月1日記

『どうする家康』「天下分け目」2023-11-06

2023年11月6日 當山日出夫

『どうする家康』第42回「天下分け目」

この前放送していた『歴史探偵』を見たので、この回の背景が実によく分かる。

家康が上杉攻めに行っている間に、三成は兵をあげる。まずねらうは伏見城である。伏見城は、鳥居元忠が守ることなっている。この回では、この伏見城の合戦がメインの展開であった。

やはり見せ場は、伏見城での合戦シーンである。千代もここで果てることになる。

この伏見城は、現在の明治天皇陵のところにあった。伏見桃山稜は、何回か行ったかと思うが、そう鮮明に覚えているというわけではない。子供のころから、高校を出るまで、宇治に住んでいたので、明治天皇陵は馴染みがある。しかし、ここが明治天皇の陵であることを、強く意識したということはない。かなり広い敷地を使っていることは、中を通ると実感できる。さすが明治天皇のお墓だけのことはある。

近年になって作った伏見桃山城は何度か行った。遊園地になっていてプールがあった。これも、今では使われていないはずである。

この回の登場人物で興味をひくのは、やはり小早川秀秋であろうか。関ヶ原の合戦において、さてどういう状況でどう判断することになるのだろうか。

さて、次週は関ヶ原の合戦である。どのように描くことになるのか、楽しみに見ることにしよう。

2023年11月5日記

業界怪談「清掃業界編」「登山業界編」2023-11-06

2023年11月6日 當山日出夫

業界怪談 清掃業界編 登山業界編

たまたまテレビの番組表を眺めていて見つけたので録画しておいて見た。

ドキュメンタリーでもないし、単なるドラマでもない。こういう作り方は、ある意味で新しい番組の手法なのかもしれない。まあ、これまでに無かったということではないだろうが、それを「怪談」として語るところが面白い。面白いというと妙であるが、しかし、その業界ならでは内情ということもあり、野次馬的には興味津々ということになる。

清掃業界編

アパートやマンションの空き部屋の清掃、遺品整理、ゴミ屋敷……どれもいわくありげである。不動産の用語でいえば、事故物件ということになるのかと思う。

当事者が体験したことを、非合理的な妄想としてしまうのは簡単かもしれないが、実際に仕事をしているなかで、感じるものは確かにあるのだろう。

登山業界編

この方は、清掃業界編とは違った意味で、共感できるところがある。山というのは古来より異界である。人間の世界とは違ったものの世界である。近代になってからでも『遠野物語』などで山のことは描かれてきている。

山になにかの霊力を感じるというのは、古今東西をとわずあり得ることだと感じている。それが時代を超えて関係者のなかで伝えられてきている。

山小屋の主人が、真言を唱えていたというのは興味深い。山の仕事にたずさわる人びとに受け継がれているものなのだろう。

清掃業界編、登山業界へを見て思うことは、二一世紀の今の時代においても、「怪談」が生きているというのも、これはこれでとても興味深い現象ではある。人間とは、そう簡単に合理性のみで生活しているわけではないということを強く感じる。

さて、一日にこのシリーズを二つ放送ということは、一二月からのBSの再編の前に終わらせるということなのかと思う。ともあれ、来週についても録画を予約しておくことにする。

2023年11月4日記