英雄たちの選択「時代をひらいた博物大名たち」2023-11-25

2023年11月25日 當山日出夫

英雄たちの選択 時代をひらいた博物大名たち

番組の終わりの磯田道史の演説に賛同する。学問といっても、学術と学芸にわけて考えることができる。社会や国家のために有用であることを目指すのが学術であるとするならば、ただ知的好奇心のための営みが学芸である。さらにいえば、(番組では言っていなかったことだが)卓越大学(いいかえるならば、かせげる大学)などという企画が出てくること自体が、もう末期的症状である。GDPの増大に役立たないなら古典教育は意味がないという意見まで出てきている。

番組の内容としては、一八世紀に出現した、博物学に興味を持った大名たちのことに焦点をあてたものであった。魚の図鑑を作ったり、貝の図鑑を作ったり、鳥の図鑑を作ったり、である。

この背景には、広く一八世紀以降の江戸時代の文化のことがある。博物学に限らず、日本における様々な知的営みが発展をとげるのが一八世紀以降ということになろうか。付け加えて考えるならば、例えば本居宣長のことなどもふくめて考えてみると面白いかもしれない。目を西洋に転じれば、『百科全書』の時代でもある。

大名、武家が中心であったが、実際には裕福な商人などもふくめて、この時代として考えておくべきことになろうか。赭鞭会という博物学サロンのことは重要かと思う。共通の趣味的領域を通じて、身分を超えた人びとのつながりができる。この赭鞭会のルールを、近代になってから牧野富太郎が書き写していたことは興味深い。

寛政重修諸家譜については、名前を知っている程度である。その編纂にかかわった堀田正敦については、知るところがなかった。鳥の図鑑を作ったことは、この番組で知った。

博物学は、場合によっては軍事的外交的に国家の機密ともかかわる場合がある。シーボルト事件が一つの事例といえるだろう。その高橋景保の名前を、鳥の図鑑のなかに残していることは、博物学、学芸の世界の価値観を反映したものであったことになる。

2023年11月23日記

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