「最新研究から考える! ヒトとAIが“共生”する未来」2024-06-01

2024年6月1日 當山日出夫

サイエンスZERO 最新研究から考える! ヒトとAIが“共生”する未来

ChatGPTが話題になりだしたころ、私が考えたこととしては、これで言語研究の枠組みが大きく変わっていくことだろう、ということである。別にこれだけが理由ではないが、ともかく大学で日本語について教える仕事を辞めることにした。

その後、AI、なかでも生成AIをめぐっては、言語研究の立場からいろんなことが言われるようになってきた。重要なことだとは思うのだが、もうそれについていくのがつらくなってきたというのが実感でもある。

そこで、読もうと思って読み始めたのが、プラトンの対話編のいくつかである。このようなものは、AI開発にあたって、まっさきに入力されているものに違いないが、それを、自分の目で読んでおきたいと思った。無論、日本語訳であるが。プラトンなど読むのは、大学生のときの一般教養以来のことになる。はっきり言えば、これからAIについて考えるよりも、プラトンを読む、さらには古典を読むことに人生の残りの時間をつかいたいと思ったのである。

この番組は、科学、技術について、基本的に肯定的な立場であつかうということであるので、AIについても、ヒトとの共生、ということになっている。

画像の認識に、少しノイズを交えただけで、認識率が下がってしまうというのは、驚きであるが、これも、逆に悪用することもできるだろうし、また、さらに、それに対してどう防御するかということになるのだろう。

AIの中身、深層学習のメカニズムがよく分かっていない、まあ確かにそうなのかなと思うが、それでも生成AIによっていろんな文章を作ったりしているのが、今の人間のあり方でもある。よくわからなくてもとにかく実際に使えるもの、というのが技術ということなのだと私は理解している。(ちなみに、私は、このごろ、「科学技術」という用語をなるべく使わないようにしている。「科学」と「技術」は別に考える視点を確保しておきたいのである。)

AIの中身を、人間の脳の機能から分析しようというこころみは非常に興味深い。まず、AIの中身がどうなっているのか、それを知ることが第一である。それと同時に、人間とは何かを考えるとき、コンピュータのアナロジーとして考えるという発想が根底にあることには、自覚的であるべきとも思う。

おそらく、人間とは何かを考えるとき、究極的には、脳から考えるか、あるいは、遺伝子から考えるか、というところに行き着くというのが、現代の我々の人間観だと思う。このことの妥当性はともかくとして、そのような時代に生きているということは、考えておくべきことである。

2024年5月29日記

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