「ヒグマ事件 150年間に何が起きた? 〜なぜ獣害は発生?知られざる生態〜」2024-06-16

2024年6月16日 當山日出夫

ダークサイドミステリー ヒグマ事件 150年間に何が起きた? 〜なぜ獣害は発生?知られざる生態〜

面白かった。

一番興味深かったのは、残っているヒグマの骨の分析から、過去に何を食べてきたのかが分かるということ。それによると、明治の初めごろまでは、ヒグマは肉食であった。エゾシカやサケなどを食べていたのだろう。それが、北海道に人……この場合は開拓にやってきた人びとということになるが……多く住むようになって、エゾシカは絶滅寸前まで減少し、サケも減少した。その結果、ヒグマは、ドングリなどを食べるようになった。しかし、ヒグマの生物としての体の作り方は、肉食のときのままである。

それが、北海道に多く人が住むようになって、ヒグマの生息域に人間の食べるもの、農作物などが存在するようになると、その味を覚える。また、土葬された人間の死体を食べることも憶える。ヒグマは、人間に近く暮らすようになる。人間を襲うヒグマも希に存在するようになる。

一九九〇年ごろまでは、ヒグマを駆除する目的で山に入りこんで猟をしていたが、それが止めになってしまった。人を恐れることがなくなったヒグマは、食べ物をもとめて人間の居住地に近づく。近づいてエサをあさっていても、それに人間が危害を加えることはない。テレビの取材があっても、それを見ているだけである。

ヒグマは学習能力が高いので、一度憶えた味をもとめて人間のところに近づくことを憶えてしまうと、それを繰り返すようになる。

結局、人間とヒグマは共存できない……というのが、この番組の結論ということになる。せいぜい広い地域で、棲み分けることぐらいである。きれいごととして、人間と野生動物の共存の可能性を考えるという、普通の番組の作り方とは違っている。だからといって、北海道のヒグマを全面的に駆除してしまえばいいというわけではないのだが。

2024年6月12日記

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