「キャンベル“千の顔をもつ英雄” (2)出立」2024-07-12

2024年7月12日 當山日出夫

100分de名著 キャンベル“千の顔をもつ英雄” (2)出立

第二回を見ていて感じたことは、神話に普遍的に見られる構造を語ることと、実際の世の中における人間の人生を混同してはいなか、ということであった。神話はあくまでも神話であり、人間の世界のこととは別であるというのが、基本にあると思う。

だが、それも見ながら考え方が変わった。人間は、自分の人生を生きていくときに、あるいは、生きてきた過去をふり返ったときに、神話や物語になぞらえて、自分にとってあのときの決断はこういうことだったのだ、あの人物との出会いはこういう意味があったのだ、と納得できる、その枠組みというか、発想の材料を提供してくれるものが必要なのである。それを普遍的にそなえているのが、神話ということになる。

こう考えると、なぜ神話が世界中である種の共通性を持つのかが理解できる。そもそも人間が人間の社会のなかで生きていくというのは、そういうものなのだから、ということである。人間のいとなみは、たとえ地域や文化、歴史がことなっていても似たようなものかもしれない。その似たようなものから、生み出されたのが神話であるならば、似通っているのは当然である。

まあ、このように考えるというのも、『共同幻想論』(吉本隆明)のことを考えてのことであるのだが。(これは誤解かもしれないが。)

それから、私は、『スター・ウォーズ』を見ていない。この第一作が出来たのが、たしか学生のときのことだったと記憶するのだが、見に行くことはなかった。学生のとき映画は好きで、ちょうど『ぴあ』が登場したころであった。これを見て、東京各地の名画座をめぐったものである。しかし、どういう加減か、『スター・ウォーズ』は見ることなく、今にいたっている。

前回も思ったが、ブッダの物語を、このように解釈することも可能なのだろが、なんとなく違和感があるというのが正直なところである。『千の顔をもつ英雄』が書かれた時代背景がどんなものかということもあるのだろうけれど。

2024年7月11日記

「深圳のハゲタカ」2024-07-12

2024年7月12日 當山日出夫

BSスペシャル 深圳のハゲタカ

今の中国の一面を描いていたと感じる。

場所は深圳。中国におけるハイテク産業の街である。そこでも中国経済の不況の影響がある。飲食店の閉店があいついでいる。全国展開のスーパーマーケットが閉店する。(これは、ネット通販の普及、配送サービスということもあり、これはこれで興味深いことであるが。)

この街の中古の厨房機器とりあつかい業者のことだった。

中国経済が不況になったらなったでしたたかに生きていく中国人のたくましさ、というものを感じる。たぶん、これから中国経済が破綻することがあったとしても、このようなビジネスに生きる人びとは、しぶとく生きのびていくにちがない。

また、中国ならではというべき、商売の交渉のあり方をかいまみるところもあった。本心かどうかはわからないが、ビジネスではない、友情なのだ……ということを言っていた。さて、どこまで信用していいのか。

それにしても、深圳の街でも廃墟となった建築がたくさんある。ということは、この建設にたずさわった労働者たち……その多くは農民工なのだろうが……の生活はどうなっていくのだろう。この番組ではここのところに触れることはなかったが、失業者問題が、国家のゆくすえにかかわることは、歴史から学ぶことである。

四〇円のビールというのは、どうなのだろうか。すさまじいデフレというべきだろうか。

どうでもいいことだが、番組に映っていたもののなかで、日本のものというとカシオの電卓だけだった。載っている自動車は、アウディとポルシェだった。

2024年7月8日記