「海獣のいる海 あるトド撃ちの生涯」 ― 2024-12-13
2024年12月13日 當山日出夫
NHKスペシャル 海獣のいる海 あるトド撃ちの生涯
淡々とした死生観が印象に残る。自分がどのように生きてきて死んでいくことになるのか、と思う。
北海道のトド猟については、今年(二〇二四)の九月二八日に、「老人と海獣 〜北海道 積丹 トドと泳ぐ海〜」をETV特集で放送している。これは見た。こちらの場合は、積丹のダイビングインストラクターの老人の視点からのものだった。
別にNHKの番組を比べて見るということではないが、私の印象としては、このNHKスペシャルの「海獣のいる海」の方が、よくできている。いや、というよりも、より深く心にしみるものがある、というべきだろうか。
きれいごとをいえばであるが……北海道周辺の生態系と、漁業(漁獲量)のバランス、そして、漁業資源の国際的な保護、ということになる。だが、このような、数値化して考えることでは、そこに生きる人たちの生活のあり方、どのように生きてきたのか、その心情の奥底に触れることはできない。(この番組をとおして、どこまで理解できるかということについては、謙虚でなければならなと思うのだが。)
人と自然とが調和して生きる……これはとても綺麗なことばなのだが……その実態の奥深くにある、人と生きものとのつながりというものを感じる。それは、生態系という視点から考えるというよりも、同じ生きものとしての感覚というべきだろうか。(だが、これも、場合によっては、駆除されるトドに対して、部外者が過度に感情移入することになるのかもしれないという危惧はある。少なくとも私は、トド猟師である人たちに対してクレームをつけようなどとは決して思わないけれど。)
見ながら思った余計なことがいくつかある。
まず、海上で揺れる小型の船のうえから、海のなかのトドを、一発でしとめるというのは、凄腕のスナイパーという以上に、神業としか思えない。
番組の中に登場していた診療所の医師。たしか、礼文島の医療をになうために父親の後をついだ、若いお医者さんである。これは、少し前、「Dear にっぽん」で登場していた。この島の医師は、こういう人のことも診なければならないのか。ただ、病気の治療ということだけではなく、この島の人の生き方を考えているように感じる。
礼文島の祭りの場面で、多くの子供たちが映っていた。この島の人口構成はどうなっているのかと思うが、できれば、多くの子供たちが育つ島であってほしい。(あるいは、夏休みだったから、たまたま子どもがいたのかもしれないが。)
俵さんが亡くなったとき、その告知を、有線放送で知らせていた。このようなことは、今の都会では考えられない。島という場所で生きるためには、このような共同体の感覚が必要なのかと思う。
さらに余計なこととしては、「トド肉」で検索してみると、販売もしているようである。
田中泯の最小限のナレーションがよかった。
2024年12月12日記
NHKスペシャル 海獣のいる海 あるトド撃ちの生涯
淡々とした死生観が印象に残る。自分がどのように生きてきて死んでいくことになるのか、と思う。
北海道のトド猟については、今年(二〇二四)の九月二八日に、「老人と海獣 〜北海道 積丹 トドと泳ぐ海〜」をETV特集で放送している。これは見た。こちらの場合は、積丹のダイビングインストラクターの老人の視点からのものだった。
別にNHKの番組を比べて見るということではないが、私の印象としては、このNHKスペシャルの「海獣のいる海」の方が、よくできている。いや、というよりも、より深く心にしみるものがある、というべきだろうか。
きれいごとをいえばであるが……北海道周辺の生態系と、漁業(漁獲量)のバランス、そして、漁業資源の国際的な保護、ということになる。だが、このような、数値化して考えることでは、そこに生きる人たちの生活のあり方、どのように生きてきたのか、その心情の奥底に触れることはできない。(この番組をとおして、どこまで理解できるかということについては、謙虚でなければならなと思うのだが。)
人と自然とが調和して生きる……これはとても綺麗なことばなのだが……その実態の奥深くにある、人と生きものとのつながりというものを感じる。それは、生態系という視点から考えるというよりも、同じ生きものとしての感覚というべきだろうか。(だが、これも、場合によっては、駆除されるトドに対して、部外者が過度に感情移入することになるのかもしれないという危惧はある。少なくとも私は、トド猟師である人たちに対してクレームをつけようなどとは決して思わないけれど。)
見ながら思った余計なことがいくつかある。
まず、海上で揺れる小型の船のうえから、海のなかのトドを、一発でしとめるというのは、凄腕のスナイパーという以上に、神業としか思えない。
番組の中に登場していた診療所の医師。たしか、礼文島の医療をになうために父親の後をついだ、若いお医者さんである。これは、少し前、「Dear にっぽん」で登場していた。この島の医師は、こういう人のことも診なければならないのか。ただ、病気の治療ということだけではなく、この島の人の生き方を考えているように感じる。
礼文島の祭りの場面で、多くの子供たちが映っていた。この島の人口構成はどうなっているのかと思うが、できれば、多くの子供たちが育つ島であってほしい。(あるいは、夏休みだったから、たまたま子どもがいたのかもしれないが。)
俵さんが亡くなったとき、その告知を、有線放送で知らせていた。このようなことは、今の都会では考えられない。島という場所で生きるためには、このような共同体の感覚が必要なのかと思う。
さらに余計なこととしては、「トド肉」で検索してみると、販売もしているようである。
田中泯の最小限のナレーションがよかった。
2024年12月12日記
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