「隠された南海トラフ地震 〜学者・今村明恒の挑戦〜」2024-12-14

2024年12月14日 當山日出夫

英雄たちの選択 隠された南海トラフ地震 〜学者・今村明恒の挑戦〜

先に放送のあった、大森房吉につづいて、今村明恒である。

南海トラフ地震は予知できるのか……現在の地震学者の立場からするならば予知は不可能ということになるだろう。まあ、予知ということばの定義にもよるが。

地震研究をサイエンスとして考えるならば、その目的は地震発生のメカニズムの解明ということになるのかと思う。その延長として、どの程度の地震で、どの程度の被害が発生するのか、というあたりまでは、サイエンスの領分だろう。

しかし、確実性をもって(いつごろどこでということを特定して)予知することになると、少なくとも現在の研究では無理といっていい。(将来的にまったく不可能ではないかもしれないが。)

さらにもうすこし範囲を広げて、もし地震が起こったとき、どのような備えがあれば、その被害を少なく出来るか、具体的には建物の耐震構造などは、サイエンスとテクノロジーのかかわるところになる。そこで、食糧の備蓄とか、災害発生時の支援とかになると、これはかなり政治のかかわることになる。

何のための科学(サイエンス)の研究なのか、ということになると、今日ではどうしても市民の視点というものを考慮することになる。地震研究は、そのなかにあって、もっともその成果を求められる分野かもしれない。

この夏の南海トラフ地震についての臨時情報は、私は、ただしかったと思っている。少なくとも、防災ということが、実質的には地方自治体まかせになっているという現実を明らかにしたことの意味は大きい。防災のための備えということで、多くの国民が意識を新たにしたことは確かだったと思う。(ちょうどお盆休みの時期であるということを考えにいれた、政治的判断もあったかなとは思うところがあるけれど。)

磯田道史が言っていたが、日本ほど、地震の多い国で、しかも、その記録が残っている国はない……これは確かである。このことについては、古記録や古文書における地震の記録を調査することが、デジタル技術を使って成果をあげつつあるところである。問題は、伝聞情報が多いので、それをどう批判的に解読するかということになろうか。

太平洋戦争中の東南海地震のことは、知識としては知っていたことである。これを日本政府は隠そうとしていたが、アメリカの新聞には大きく載っていた。さて、この時代、日本のインテリジェンスとしては、アメリカがこれを知っているということを、どう評価していたことになるのだろうか。現実には、中島飛行機の工場が地震で被害を受けた後に、空襲にあっていることになる。

2024年12月9日記

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