100分de名著「ヘーゲル“精神現象学” (2)論破がもたらすもの」2025-03-17

2025年3月17日 當山日出夫

100分de名著 ヘーゲル“精神現象学” (2)論破がもたらすもの

番組のなかで語っていること自体についていえば、まあ、そうだよなあ、ということになる。特に異論をはさむようなことではない。

ただ、今の社会において、一番難しくなっているのが、異なる価値観を持つ人に対する許容ということである。これは、いわゆる、左右どちらの立場についてもいえる。

多様性を尊重すべきだという主張をする一方で、認めることができないことについては、容赦がない。論ずるまでもなく否定する。こういう傾向は、私の見るところ、いわゆるリベラルという人たちに強い。

何度も同じことを書いているが、自分がなぜそのような価値観を持ち、考え方をするのか、それはどのような社会に生まれ、どのような教育を受けてきて、どんな勉強をし、どんな人の話を聞いてきたからなのか……こういうことにつて、総合的に自省する姿勢こそが、まずは必要なのだろう。自分と違う意見の人は、どういう背景でそう思うのか、そこへの想像力が必要である。そして、いそいで善悪を判断しないことである。人は、歴史と文化、そして、遺伝子から、自由ではありえない。そこを基盤として、自由とか人権とかは論じられなければならないのであるが、往々にして、逆の結果になりがちである。

斎藤幸平も、この番組で語っているかぎりは、穏健に話しているが、場面が変わると、まさに「論破」して終わり、という面がないわけではない。自身は、新しいコミュニズムを目指すということなのだろうが、それが、熟議によって多くの人の共感を得る、そして、社会を動かすことができる……と、本当に思っているのだろうか。これは、疑わしいところがあると、私は思っている。

2025年3月11日気記

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