『べらぼう』「さらば源内、見立は蓬莱」 ― 2025-04-21
2025年4月21日 當山日出夫
『べらぼう』「さらば源内、見立は蓬莱」
あまりドラマを演出が誰かということで見ることはないのだが、しかし、この回、それから前回もそうだったが、演出が大原拓ということは、やはり書いておきたいことである。とにかく、映像が非常にいい。無論、脚本もたくみなのであるが、それを映像として表現するとき、一つ一つのカットが、ものすごく説得力があり、魅力的に作ってある。
平賀源内が、非業の死をとげることになることは、知識としては知っていることなのだが、それを、江戸幕府内の権力闘争……次の将軍をめぐり、また、田沼意次をめぐり……とからめて、なるほど、こういう筋書きであった……と思わせるのは、実に見事というほかはない。
そういえば、以前に、平賀源内が市中で刀を抜いていたが、それが竹光であったことが出てきていて、そのときは、そういうものかと思って見ていたのだが、これが重要な伏線として使われていたことになる。
たとえば、平賀源内が牢屋に入れられて、牢の格子のところに茶碗がおかれる。そこからかすかに湯気が見える。ただ、これだけのカットであるが、実に考えて作ってあると感じるところがある。
また、平賀源内が煙草を吸って、次のシーンで、カメラが傾けてある。なるほど、そういう意味の画面だったのかと、後で気づくことになる。
障子、行灯、蝋燭などのあかりの光線の使い方もたくみである。
(強いて想像すればであるが、私は、見ていて、市川崑のことを思った。)
歴史の真相はどうであったにせよ、時代劇ドラマとしては、『べらぼう』のこの回は、おそらく脚本、演出、映像の非常にすぐれた回として、記憶されるものになるにちがいない。特に、平賀源内の安田顕がとてもいい。
そんなに多くのシーンに登場しているというわけではないのだが、一橋治済の生田斗真が、非常にいい雰囲気である。こういう人物が出てくると、やはりドラマとしてとても面白くなる。さて、薩摩の芋というのは、何のことを言っているのだろうか。ここは、見るものの創造力である。
最後に、ドラマとしては次の幕があくことになる。雪の吉原から、芝居小屋への、画面の転換もうまい。このシーンのために、前もって蔦重とりつとの芝居見物が伏線として描いてあったことになる。そして、次からの展開にお楽しみということになる。
2025年4月20日記
『べらぼう』「さらば源内、見立は蓬莱」
あまりドラマを演出が誰かということで見ることはないのだが、しかし、この回、それから前回もそうだったが、演出が大原拓ということは、やはり書いておきたいことである。とにかく、映像が非常にいい。無論、脚本もたくみなのであるが、それを映像として表現するとき、一つ一つのカットが、ものすごく説得力があり、魅力的に作ってある。
平賀源内が、非業の死をとげることになることは、知識としては知っていることなのだが、それを、江戸幕府内の権力闘争……次の将軍をめぐり、また、田沼意次をめぐり……とからめて、なるほど、こういう筋書きであった……と思わせるのは、実に見事というほかはない。
そういえば、以前に、平賀源内が市中で刀を抜いていたが、それが竹光であったことが出てきていて、そのときは、そういうものかと思って見ていたのだが、これが重要な伏線として使われていたことになる。
たとえば、平賀源内が牢屋に入れられて、牢の格子のところに茶碗がおかれる。そこからかすかに湯気が見える。ただ、これだけのカットであるが、実に考えて作ってあると感じるところがある。
また、平賀源内が煙草を吸って、次のシーンで、カメラが傾けてある。なるほど、そういう意味の画面だったのかと、後で気づくことになる。
障子、行灯、蝋燭などのあかりの光線の使い方もたくみである。
(強いて想像すればであるが、私は、見ていて、市川崑のことを思った。)
歴史の真相はどうであったにせよ、時代劇ドラマとしては、『べらぼう』のこの回は、おそらく脚本、演出、映像の非常にすぐれた回として、記憶されるものになるにちがいない。特に、平賀源内の安田顕がとてもいい。
そんなに多くのシーンに登場しているというわけではないのだが、一橋治済の生田斗真が、非常にいい雰囲気である。こういう人物が出てくると、やはりドラマとしてとても面白くなる。さて、薩摩の芋というのは、何のことを言っているのだろうか。ここは、見るものの創造力である。
最後に、ドラマとしては次の幕があくことになる。雪の吉原から、芝居小屋への、画面の転換もうまい。このシーンのために、前もって蔦重とりつとの芝居見物が伏線として描いてあったことになる。そして、次からの展開にお楽しみということになる。
2025年4月20日記
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