アナザーストーリーズ「山田太一傑作ドラマ『岸辺のアルバム』と多摩川水害」2025-05-06

2025年5月6日 當山日出夫

アナザーストーリーズ 山田太一傑作ドラマ『岸辺のアルバム』と多摩川水害

『岸辺のアルバム』は見ていない。ちょうどテレビを持っていない生活をしていたころだったろう。だが、話題になったことは知っていた。

ただ、この番組としては、ドラマの『岸辺のアルバム』の話しと、実際にあった多摩川水害のこと、これを無理に一緒にしたという印象がある。とはいえ、別々に語ることもむずかしいかとも思うのだが。

山田太一が、『岸辺のアルバム』で、幸福そうに見える家庭であっても、それは見せかけのものであって、その実、人間の様々な邪悪な部分が奥底にあって、崩壊しかねないものである……ということは、その後のいろんなテレビドラマなどで、描かれることになる。その意味では、日本のテレビドラマ史という意味では、重要な作品ということになるだろう。

ただ、この時代までは、家庭というものが、忌避すべきものとしては描かれていないことも重要だろう。歴史の流れとしては、明治になって近代になってから、家というものが意識され、それからの解放ということが、文学作品などのテーマになってきた。家を否定して、人間の生活のよりどころとして現れてきたのが、家庭であった。戦後になって、経済成長、生活のスタイルの変化、ということにともなって家庭が重視されるようになった。それが、二一世紀の現代になって、家庭について、これは人間の自由を拘束するものであるという認識が生まれてきている。その端的な事例が、こども家庭庁を作るときに、家庭のことばをいれることへの反発でもあった。家庭は、個人を抑圧するものである、というふうに変わってきている。

家庭が、ドラマなどでどのように描かれてきたかという歴史から、『岸辺のアルバム』は、考えてみることになるだろう。

2025年5月2日記

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