BSスペシャル「死に向かって生きる〜アメリカを目指す中国人“走線者”〜」 ― 2025-05-07
2025年5月7日 當山日出夫
BSスペシャル 死に向かって生きる〜アメリカを目指す中国人“走線者”〜
自分が死ねば、残った子どもたちは孤児として、アメリカ社会で受け入れてもらえる、そう遺書を残して自ら死を選んだ父親のことは、悲劇というには、あまりにもむごい話しである。(ドキュメンタリー番組を見て、そう心を動かされるということのない私であるが、このエピソードだけは、きわめて深く心に響くものがある。正直に言って、涙を禁じ得ない。なお、これはバイデン政権のときに起こったできごとであった。)
走線、ということは、この番組で知った。中米からメキシコを通ってアメリカに入国するルートがある。パナマを通過するとき、地元のマフィアに多額のお金を払わないと、通行できない。そのかわり、一種の保護もあり、食糧も売ってくれる(?)のだが。このルートのことは、少し前に、BS世界のドキュメンタリーであつかっていた。「中米パナマの憂うつ “船と不法移民の交差点”で何が」。このときは、パナマを通過していく移民の人びとは、ニカラグアなどのほとんど崩壊した国家から逃げてきた人たちということだったが、そのなかに多くの中国人もいたことになる。
中国共産党を批判したというだけで、警察に出頭を命じられ、命の危険がある。このまま中国にとどまるよりは、アメリカに行って死んだ方がマシである。このように思う中国人が、アメリカに入国している。数万人以上にのぼる。
中国共産党と不動産業者が癒着している。このようなことは、あまり日本のマスコミで大きく報じられることはないと思うのだが、共産党の腐敗と、不動産不況ということは、中国にとって、大きく国家の屋台骨をゆるがすことにつながる。これが分かっているから、習近平政権は、より一層、批判への弾圧を強めることになると理解していいだろうか。(中国共産党の経済的基盤、というようなテーマで論じることになるだろう。)
アメリカ国内にすでに居住している移民である人びと……中国系もいれば、韓国系もいる……が、かならずしも、新たに中国から中米経由の走線ルートでやってくる移民を歓迎していない。不法移民として退去を求める。これは、彼らなりの既得権益の主張にはちがいない。
だが、そのように主張する人がアメリカに存在することを、アメリカに入国した中国人(まだ、正式に難民として受け入れてもらえるかどうかわからない)は、言論の自由として認めている。中国では、そのような言論の自由がまったくない。
たぶんNHKが取材し、それに応じてくれた、アメリカの中国人の人びとは、それなりの覚悟があってのことだということだろう。あるいは、習近平、中国共産党を批判はするが、過激な反政府活動には与しない、だから、(はっきりいえば)暗殺されるような心配はない、ということかとも思う。たぶん、中国政府としては、この番組に登場したような人びとのことは、把握しているはずだと思うが、まあ、この程度のことなら許容できると思っているのだろうか。邪魔な存在で、いなくなればいいと思っているのだろうか。
近代的な国家の枠組みとして、国境の管理、国民であることの管理、これはしなければならない。だれでも自由に出入りできるということであってはならない。
しかし、この番組で出てきたような人びとについては、中国以外の国で、身の安全を保証されて生活することができる、そのようであるべきである、と私は思う。
だからといって、中国人のすべてが善良で、民主主義を求めている、というわけでもないとは思う。なかには、どうしようもない悪党だっているにちがない。
また、アメリカにおいて、不法移民、ということがどのような制度のもとで運用されていることなのか、その実態については、詳しく知りたいところである。
2025年5月3日記
BSスペシャル 死に向かって生きる〜アメリカを目指す中国人“走線者”〜
自分が死ねば、残った子どもたちは孤児として、アメリカ社会で受け入れてもらえる、そう遺書を残して自ら死を選んだ父親のことは、悲劇というには、あまりにもむごい話しである。(ドキュメンタリー番組を見て、そう心を動かされるということのない私であるが、このエピソードだけは、きわめて深く心に響くものがある。正直に言って、涙を禁じ得ない。なお、これはバイデン政権のときに起こったできごとであった。)
走線、ということは、この番組で知った。中米からメキシコを通ってアメリカに入国するルートがある。パナマを通過するとき、地元のマフィアに多額のお金を払わないと、通行できない。そのかわり、一種の保護もあり、食糧も売ってくれる(?)のだが。このルートのことは、少し前に、BS世界のドキュメンタリーであつかっていた。「中米パナマの憂うつ “船と不法移民の交差点”で何が」。このときは、パナマを通過していく移民の人びとは、ニカラグアなどのほとんど崩壊した国家から逃げてきた人たちということだったが、そのなかに多くの中国人もいたことになる。
中国共産党を批判したというだけで、警察に出頭を命じられ、命の危険がある。このまま中国にとどまるよりは、アメリカに行って死んだ方がマシである。このように思う中国人が、アメリカに入国している。数万人以上にのぼる。
中国共産党と不動産業者が癒着している。このようなことは、あまり日本のマスコミで大きく報じられることはないと思うのだが、共産党の腐敗と、不動産不況ということは、中国にとって、大きく国家の屋台骨をゆるがすことにつながる。これが分かっているから、習近平政権は、より一層、批判への弾圧を強めることになると理解していいだろうか。(中国共産党の経済的基盤、というようなテーマで論じることになるだろう。)
アメリカ国内にすでに居住している移民である人びと……中国系もいれば、韓国系もいる……が、かならずしも、新たに中国から中米経由の走線ルートでやってくる移民を歓迎していない。不法移民として退去を求める。これは、彼らなりの既得権益の主張にはちがいない。
だが、そのように主張する人がアメリカに存在することを、アメリカに入国した中国人(まだ、正式に難民として受け入れてもらえるかどうかわからない)は、言論の自由として認めている。中国では、そのような言論の自由がまったくない。
たぶんNHKが取材し、それに応じてくれた、アメリカの中国人の人びとは、それなりの覚悟があってのことだということだろう。あるいは、習近平、中国共産党を批判はするが、過激な反政府活動には与しない、だから、(はっきりいえば)暗殺されるような心配はない、ということかとも思う。たぶん、中国政府としては、この番組に登場したような人びとのことは、把握しているはずだと思うが、まあ、この程度のことなら許容できると思っているのだろうか。邪魔な存在で、いなくなればいいと思っているのだろうか。
近代的な国家の枠組みとして、国境の管理、国民であることの管理、これはしなければならない。だれでも自由に出入りできるということであってはならない。
しかし、この番組で出てきたような人びとについては、中国以外の国で、身の安全を保証されて生活することができる、そのようであるべきである、と私は思う。
だからといって、中国人のすべてが善良で、民主主義を求めている、というわけでもないとは思う。なかには、どうしようもない悪党だっているにちがない。
また、アメリカにおいて、不法移民、ということがどのような制度のもとで運用されていることなのか、その実態については、詳しく知りたいところである。
2025年5月3日記
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