ザ・バックヤード「琵琶湖博物館」 ― 2025-05-16
2025年5月16日 當山日出夫
ザ・バックヤード 琵琶湖博物館
琵琶湖博物館には、二~三回、行ったことがある。まだ、子どもたちが小さいときのことである。そのころとは、展示の内容も変わってきているかと思う。
ここは、自然関係だけでなく、考古学や民俗学や歴史学などをふくめて、琵琶湖にかかわることを幅広く展示してある。このような総合的な、公立の博物館は、他にあまりないかもしれない。私が行ったことがあるところだと、鹿児島の黎明館がある。
琵琶湖が50万年前ぐらいにできた古い湖である、ということは、初めて知った。50万年で古いというなら、日本や世界にたくさんある他の湖は、どういうことになるのだろうか。
琵琶湖で絶滅危惧種になってしまっていた魚が、京都の平安神宮にいたというのは、面白い。まあ、琵琶湖疏水を通じて、琵琶湖と京都はつながったのだから、こういうことがあってもおかしくはないが。それにしても、平安神宮の池で、よく生きのこっていたものである。
考古学の遺跡としては、縄文から弥生ということらしい。日本における水中考古学は、まだまだこれからいろんな発見があるにちがいない。番組の中では言っていなかったが、場合によると旧石器時代のものもあるだろうか。ここは、日本列島にいつごろからどんな人が住んできたかという、DNA解析の研究の結果と総合的に考えることになるにちがいないが。
丸木舟の遺物があったが、これは、年輪年代学で年代測定が可能なのだろうか。
どうでもいいことかもしれないが、考古遺物の土器を手で持つときは、指輪ははずした方がいいと思う。
2025年5月13日記
ザ・バックヤード 琵琶湖博物館
琵琶湖博物館には、二~三回、行ったことがある。まだ、子どもたちが小さいときのことである。そのころとは、展示の内容も変わってきているかと思う。
ここは、自然関係だけでなく、考古学や民俗学や歴史学などをふくめて、琵琶湖にかかわることを幅広く展示してある。このような総合的な、公立の博物館は、他にあまりないかもしれない。私が行ったことがあるところだと、鹿児島の黎明館がある。
琵琶湖が50万年前ぐらいにできた古い湖である、ということは、初めて知った。50万年で古いというなら、日本や世界にたくさんある他の湖は、どういうことになるのだろうか。
琵琶湖で絶滅危惧種になってしまっていた魚が、京都の平安神宮にいたというのは、面白い。まあ、琵琶湖疏水を通じて、琵琶湖と京都はつながったのだから、こういうことがあってもおかしくはないが。それにしても、平安神宮の池で、よく生きのこっていたものである。
考古学の遺跡としては、縄文から弥生ということらしい。日本における水中考古学は、まだまだこれからいろんな発見があるにちがいない。番組の中では言っていなかったが、場合によると旧石器時代のものもあるだろうか。ここは、日本列島にいつごろからどんな人が住んできたかという、DNA解析の研究の結果と総合的に考えることになるにちがいないが。
丸木舟の遺物があったが、これは、年輪年代学で年代測定が可能なのだろうか。
どうでもいいことかもしれないが、考古遺物の土器を手で持つときは、指輪ははずした方がいいと思う。
2025年5月13日記
「疾走!タクラマカン砂漠鉄道 ~冬のシルクロードをゆく~」 ― 2025-05-16
2025年5月16日 當山日出夫
疾走!タクラマカン砂漠鉄道 ~冬のシルクロードをゆく~
NHK、というよりも、実質的にテムジンが作った番組ということになるのだろうが、中国の新疆ウイグル族自治区を、テレビで取材するとなると、こういう作り方なら、かろうじて中国政府が許している……このように理解して見ていたのだが、あまりに天邪鬼だろうか。
タクラマカン砂漠をぐるりとまわる鉄道を建設する。そして、それを、さらに中央アジアにまで延長しようとしている。以前は、ロシアが、中国の中央アジアへの進出に警戒的であったが、ウクライナ侵攻以来、ロシアの態度が軟化して(中国を味方にしておきたいということであるが)、建設がスタートすることになった。この番組として、一番つたえたかったことは、この最後に出てきたことかもしれない。ユーラシア大陸を、中央アジアをとおって東西にむすぶ交易を、中国がこれから支配することになる、少なくとも今の中国政府はこの方針である、ということだろう。
砂漠のなかにあった村を捨てて、都会に移住してきた男性の家族(その妻と子ども)が映っていたが、見ると、その家の扉のところに中国の国旗がかかげてあった。少しだけ映っていたのだが、そのように判断できる。これは、おそらく、こういう人物……中国共産党の支配を肯定する……だからこそ、取材して大丈夫ということなのだろうと思う。
現在の新疆ウイグル族自治区がどんなになっているか、という意味では、とても興味深い内容ではある。しかし、同時に、NHKであっても取材できなかった部分で、いったいどんなことが行われているのか、それは、見るものの想像力ということになるのかもしれない。
崑崙の玉の取引で、中国の都会と、スマホでやりとりしながら、売っていた。通信環境が整っているというふうに見ることもできる。しかし、これも、見方を変えると、新疆ウイグル族自治区の人びとの言動についても、中国の中央政府が直に監視できるということでもある。
スマホで中国の都市部とやりとりできるとはいいながら、玉や、家畜の、売買では現金である。スマホのオンライン決済のシステムは、ここの地域にまでは及んでいない、と理解できるだろうか。
最後になって、ようやくイスラムということばがつかってあったが、その信仰がいまはどういう状況であるかは、まったく言及がなかった。これについては、一切触れてはならないということだったのだろうと思う。出てきていたのは、家畜の売買の商習慣として、仲介人が介在するということで、これは、一〇世紀の昔からつづくことだという。それほどながく、イスラムの教えのなかで、この地域の人びとは生活してきた、ということを表現したかったのだろうと理解することになる。
新疆ウイグル自治区の伝統的な生活スタイルが残っているということも映像では映っていた……市場や旧市街など……まあ、これは、かつてナチスの、平和に安穏に生活しているユダヤ人のプロパガンダ映画を作ったようなものだろうと、私は思って見ている。それように、残してある、という側面もあるとも思う。もし、これに反論して、中国共産党を擁護したいのなら、外国のメディアが自由にこの地域を取材できるようになっているという状況になってから、ということになるにちがいない。
この番組では、漢族、ということばを多くつかっていた。普通、中国のことをあつかう番組では、このことばはほとんど使わないと思う。タクラマカン砂漠のこの地域が、中国の支配的民族である漢族とは、異なる民族の人たちの生活する地域である、ということになる。
映像的にはとてもきれいに作ってある。そして、そこに生活するひとたちの現状をレポートしている。しかし、見ていると、映っていないことが何だったのか、ということにどうしても関心がいく。新疆ウイグル族自治区をめぐっては、国際的に大きな問題になっている。何を映していないか、ということで、それなりのメッセージを伝えようという意図があったとは、感じるところである。
2025年5月5日記
疾走!タクラマカン砂漠鉄道 ~冬のシルクロードをゆく~
NHK、というよりも、実質的にテムジンが作った番組ということになるのだろうが、中国の新疆ウイグル族自治区を、テレビで取材するとなると、こういう作り方なら、かろうじて中国政府が許している……このように理解して見ていたのだが、あまりに天邪鬼だろうか。
タクラマカン砂漠をぐるりとまわる鉄道を建設する。そして、それを、さらに中央アジアにまで延長しようとしている。以前は、ロシアが、中国の中央アジアへの進出に警戒的であったが、ウクライナ侵攻以来、ロシアの態度が軟化して(中国を味方にしておきたいということであるが)、建設がスタートすることになった。この番組として、一番つたえたかったことは、この最後に出てきたことかもしれない。ユーラシア大陸を、中央アジアをとおって東西にむすぶ交易を、中国がこれから支配することになる、少なくとも今の中国政府はこの方針である、ということだろう。
砂漠のなかにあった村を捨てて、都会に移住してきた男性の家族(その妻と子ども)が映っていたが、見ると、その家の扉のところに中国の国旗がかかげてあった。少しだけ映っていたのだが、そのように判断できる。これは、おそらく、こういう人物……中国共産党の支配を肯定する……だからこそ、取材して大丈夫ということなのだろうと思う。
現在の新疆ウイグル族自治区がどんなになっているか、という意味では、とても興味深い内容ではある。しかし、同時に、NHKであっても取材できなかった部分で、いったいどんなことが行われているのか、それは、見るものの想像力ということになるのかもしれない。
崑崙の玉の取引で、中国の都会と、スマホでやりとりしながら、売っていた。通信環境が整っているというふうに見ることもできる。しかし、これも、見方を変えると、新疆ウイグル族自治区の人びとの言動についても、中国の中央政府が直に監視できるということでもある。
スマホで中国の都市部とやりとりできるとはいいながら、玉や、家畜の、売買では現金である。スマホのオンライン決済のシステムは、ここの地域にまでは及んでいない、と理解できるだろうか。
最後になって、ようやくイスラムということばがつかってあったが、その信仰がいまはどういう状況であるかは、まったく言及がなかった。これについては、一切触れてはならないということだったのだろうと思う。出てきていたのは、家畜の売買の商習慣として、仲介人が介在するということで、これは、一〇世紀の昔からつづくことだという。それほどながく、イスラムの教えのなかで、この地域の人びとは生活してきた、ということを表現したかったのだろうと理解することになる。
新疆ウイグル自治区の伝統的な生活スタイルが残っているということも映像では映っていた……市場や旧市街など……まあ、これは、かつてナチスの、平和に安穏に生活しているユダヤ人のプロパガンダ映画を作ったようなものだろうと、私は思って見ている。それように、残してある、という側面もあるとも思う。もし、これに反論して、中国共産党を擁護したいのなら、外国のメディアが自由にこの地域を取材できるようになっているという状況になってから、ということになるにちがいない。
この番組では、漢族、ということばを多くつかっていた。普通、中国のことをあつかう番組では、このことばはほとんど使わないと思う。タクラマカン砂漠のこの地域が、中国の支配的民族である漢族とは、異なる民族の人たちの生活する地域である、ということになる。
映像的にはとてもきれいに作ってある。そして、そこに生活するひとたちの現状をレポートしている。しかし、見ていると、映っていないことが何だったのか、ということにどうしても関心がいく。新疆ウイグル族自治区をめぐっては、国際的に大きな問題になっている。何を映していないか、ということで、それなりのメッセージを伝えようという意図があったとは、感じるところである。
2025年5月5日記
BS世界のドキュメンタリー「北極が溶けるとき 温暖化が招く新たな対立」 ― 2025-05-16
2025年5月16日 當山日出夫
BS世界のドキュメンタリー 「北極が溶けるとき 温暖化が招く新たな対立」
2024年、イギリスの制作。
アメリカのトランプ大統領が、グリーンランドを自国のものにしたいと言ったとき、日本の、特に、反トランプの立場をとるいわゆるリベラルよりの人たちは、馬鹿げた誇大妄想として、ほとんどとりあわなかった。しかし、これが、北極海の覇権をめぐる争いに、これからアメリカはプレゼンスを増す方針である、その表明である(確かに言い方は粗雑ではあったが)と、理解した人がどれぐらいいただろうか。
どこに書いたか忘れてしまったが、このとき私は、このように書いたのを憶えている。トランプ大統領の発言に、デンマークの首相は、即座に拒否する姿勢を見せず、それは、グリーンランドの人びとの決めることだ、という意味のことを言った。これは、グリーンランドの北極海の地政学的な重要性を理解したうえで、将来的にここをデンマーク一国で管理し防衛することの困難を分かった上での発言だと、私は理解して、ニュースを見ていた。
北極海の軍事的意味については、以前から、小泉悠などが指摘してきていたところだったはずである。
地球温暖化の影響で、北極海の氷がとけるとすると、その石油やガス、レアアースなどの資源、漁業、それから、北極海航路の確保……これらをめぐって、熾烈な争いがおこる可能性がある。このことにいち早く手をつけたのがロシアであり、見方によっては、ウクライナ侵攻も、大きなロシアの対世界戦略の一環であったと理解することができよう。
これに対抗するのがNATOであり、ノルウェーやフィンランドなどのことが、紹介されていた。
そして、北極海の権益については、中国も意欲を示している。
そうなると、日本海からオホーツク海について、日本のみならず、韓国や北朝鮮をもまきこんで、きわめて複雑な情勢が生まれてくることは予想される。いや、もうすでにそうなっている、というべきである。
開かれたインド太平洋と言っているが、その太平洋は、北極海にも続いている。日本周辺の北の海は、中国とロシアを相手にしての、軍事的緊張の最前線であるということになる。
しかし、この番組では、日本のことは一言も出てきていなかった。現状では、まだ日本が北極海の覇権をめぐるゲームのプレーヤとは、認識されていないということかもしれないが、そんなことはないはずである。
強いていえばということになるかもしれないが、日本の強みは、日本海、オホーツク海の海中を知っている……ソナーによる潜水艦探知能力がある……ということなのかと思うが、はたして実力のほどはどうなのだろうか。(これは最重要の軍事機密にちがいないが。)
そして、北極海での軍事的プレゼンスという意味では、日本とNATOとの連携ということは、確実に視野にいれて議論しなければならないことになるはずである。
2025年5月14日記
BS世界のドキュメンタリー 「北極が溶けるとき 温暖化が招く新たな対立」
2024年、イギリスの制作。
アメリカのトランプ大統領が、グリーンランドを自国のものにしたいと言ったとき、日本の、特に、反トランプの立場をとるいわゆるリベラルよりの人たちは、馬鹿げた誇大妄想として、ほとんどとりあわなかった。しかし、これが、北極海の覇権をめぐる争いに、これからアメリカはプレゼンスを増す方針である、その表明である(確かに言い方は粗雑ではあったが)と、理解した人がどれぐらいいただろうか。
どこに書いたか忘れてしまったが、このとき私は、このように書いたのを憶えている。トランプ大統領の発言に、デンマークの首相は、即座に拒否する姿勢を見せず、それは、グリーンランドの人びとの決めることだ、という意味のことを言った。これは、グリーンランドの北極海の地政学的な重要性を理解したうえで、将来的にここをデンマーク一国で管理し防衛することの困難を分かった上での発言だと、私は理解して、ニュースを見ていた。
北極海の軍事的意味については、以前から、小泉悠などが指摘してきていたところだったはずである。
地球温暖化の影響で、北極海の氷がとけるとすると、その石油やガス、レアアースなどの資源、漁業、それから、北極海航路の確保……これらをめぐって、熾烈な争いがおこる可能性がある。このことにいち早く手をつけたのがロシアであり、見方によっては、ウクライナ侵攻も、大きなロシアの対世界戦略の一環であったと理解することができよう。
これに対抗するのがNATOであり、ノルウェーやフィンランドなどのことが、紹介されていた。
そして、北極海の権益については、中国も意欲を示している。
そうなると、日本海からオホーツク海について、日本のみならず、韓国や北朝鮮をもまきこんで、きわめて複雑な情勢が生まれてくることは予想される。いや、もうすでにそうなっている、というべきである。
開かれたインド太平洋と言っているが、その太平洋は、北極海にも続いている。日本周辺の北の海は、中国とロシアを相手にしての、軍事的緊張の最前線であるということになる。
しかし、この番組では、日本のことは一言も出てきていなかった。現状では、まだ日本が北極海の覇権をめぐるゲームのプレーヤとは、認識されていないということかもしれないが、そんなことはないはずである。
強いていえばということになるかもしれないが、日本の強みは、日本海、オホーツク海の海中を知っている……ソナーによる潜水艦探知能力がある……ということなのかと思うが、はたして実力のほどはどうなのだろうか。(これは最重要の軍事機密にちがいないが。)
そして、北極海での軍事的プレゼンスという意味では、日本とNATOとの連携ということは、確実に視野にいれて議論しなければならないことになるはずである。
2025年5月14日記
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