NHKスペシャル「追跡 自由診療“ビジネス”トラブル続出の美容医療 そして」 ― 2025-06-12
2025年6月12日 當山日出夫
NHKスペシャル 追跡 自由診療“ビジネス”トラブル続出の美容医療 そして
再放送を録画しておいた見た。最初は、2025年3月29日。
話しの内容が二つに分かれているので、ちょっと分かりにくいところもある。
美容医療のことと、再生医療のこととは、分けて考えた方がよかっただろう。ともに、自由診療ということでは同じかもしれないが、それを受ける患者の動機、それから、法的な規制、クリニックの経営のあり方、これらは違うところがあるはずである。
番組ではまったく言っていなかったが、美容医療の根底にあるのは、(今でいうことばとしては)ルッキズムである。容姿の見た目、である。たしかに、人間が社会の中で生きて行くときに、こういう価値観はまったく否定できるものではないかとも思うが、実際には、あまりにも多くの人が、これに流されてしまっているように思われる。その一方で、政治家などが、少しでもこのようなことに抵触する発言をすると、きわめて厳しい批判にさらされる。これは、どう見ても、どこかおかしい。そんなに見た目を気にすることはないだろうし(別に目が二重だろうだ、それがどうしたと思うのだけれど)、逆に、見た目だけでその人間の全てを評価するというわけではないのに、そういうことをタブー視してしまうことにも、やはり違和感を感じる。
問題なのは、再生医療についての国の審査。開発中の技術であり、その効果があるかどうか分からない、ひょっとしたある可能性は否定できない、少なくとも害にはならない……こういうことなら、そのことを説明したうえであれば、まったく否定されるべきではない、ということになるだろう。症例を積み重ねていくなかで、有効な事例があるならば、それを検証することで、より効果的な治療法の開発につながる可能性がある。(おそらく、多くの医療にかかわる技術は、このような段階を経て一般化していくものだろうと思うことにはなる。)
美容医療の副作用で困ったことになった患者が、口コミとしてそのことを発信するのは、かなり微妙かなと思うところがある。無論、悪い結果があるなら、そのことはきちんと報告され、オープンになるべきである。だが、このとき、その因果関係を立証すること、挙証責任を問われることになると、ただ一方的に患者の言い分だけが語られるのは、どうなのだろうか。ここには、第三者の判断、ということが必要であるかとも思う。しかし、実際には、それはとても面倒なことにはちがいない。(こういうことを言うと、挙証責任はだれにあるのか、きちんと証拠を示してから言うべきである、という恫喝に結果としてなりかねない危険はある。)
一般の医療についていうならば、保険適用の標準的な医療が、より多くの人びとにとどけられ、それを基本とした医療への信頼、ということが必要ということになると思うことになる。
2025年6月11日記
NHKスペシャル 追跡 自由診療“ビジネス”トラブル続出の美容医療 そして
再放送を録画しておいた見た。最初は、2025年3月29日。
話しの内容が二つに分かれているので、ちょっと分かりにくいところもある。
美容医療のことと、再生医療のこととは、分けて考えた方がよかっただろう。ともに、自由診療ということでは同じかもしれないが、それを受ける患者の動機、それから、法的な規制、クリニックの経営のあり方、これらは違うところがあるはずである。
番組ではまったく言っていなかったが、美容医療の根底にあるのは、(今でいうことばとしては)ルッキズムである。容姿の見た目、である。たしかに、人間が社会の中で生きて行くときに、こういう価値観はまったく否定できるものではないかとも思うが、実際には、あまりにも多くの人が、これに流されてしまっているように思われる。その一方で、政治家などが、少しでもこのようなことに抵触する発言をすると、きわめて厳しい批判にさらされる。これは、どう見ても、どこかおかしい。そんなに見た目を気にすることはないだろうし(別に目が二重だろうだ、それがどうしたと思うのだけれど)、逆に、見た目だけでその人間の全てを評価するというわけではないのに、そういうことをタブー視してしまうことにも、やはり違和感を感じる。
問題なのは、再生医療についての国の審査。開発中の技術であり、その効果があるかどうか分からない、ひょっとしたある可能性は否定できない、少なくとも害にはならない……こういうことなら、そのことを説明したうえであれば、まったく否定されるべきではない、ということになるだろう。症例を積み重ねていくなかで、有効な事例があるならば、それを検証することで、より効果的な治療法の開発につながる可能性がある。(おそらく、多くの医療にかかわる技術は、このような段階を経て一般化していくものだろうと思うことにはなる。)
美容医療の副作用で困ったことになった患者が、口コミとしてそのことを発信するのは、かなり微妙かなと思うところがある。無論、悪い結果があるなら、そのことはきちんと報告され、オープンになるべきである。だが、このとき、その因果関係を立証すること、挙証責任を問われることになると、ただ一方的に患者の言い分だけが語られるのは、どうなのだろうか。ここには、第三者の判断、ということが必要であるかとも思う。しかし、実際には、それはとても面倒なことにはちがいない。(こういうことを言うと、挙証責任はだれにあるのか、きちんと証拠を示してから言うべきである、という恫喝に結果としてなりかねない危険はある。)
一般の医療についていうならば、保険適用の標準的な医療が、より多くの人びとにとどけられ、それを基本とした医療への信頼、ということが必要ということになると思うことになる。
2025年6月11日記
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