『とと姉ちゃん』「常子、失業する」「常子、花山伊佐次と出会う」2025-08-10

2025年8月10日 當山日出夫

『とと姉ちゃん』「常子、失業する」「常子、花山伊佐次と出会う」

森田屋の人びとがいなくなった。戦争の影響で、お弁当屋さんの仕事がうまくいかなくなり、高崎に行って再起をはかることになる。この時代、食材も手にはいりにくくなり、また、お客さんも減っていく。仕出しを取ろうということもなくなっていく。最初にこの放送を見たときには、そういうものかと思って見ていたと憶えているのだが、再放送で見なおすと、森田屋の人びとの仕事をつうじて、この時代の世相や雰囲気というものが、上手に描かれていると感じる。

青柳の材木商の仕事もうまくいかなくなる。材木も重要な軍需物資であったことは確かなことであるが、実際はどうだったのだろうか。働く人手が少なくなれば、山から木を切り出して、運んで、製材して、という一連の仕事ができなくなる。これは、男手がなくなったからといって、簡単に女性がとってかわれるような仕事ではなかったはずである。

奉公人たちも兵隊にとられ戦争に行ってしまう。

こういう時代に失業してしまうことになった常子は、運が悪かったということになるだろう。

出版社の仕事が見つかった。このとき、事務的な仕事で働き手を探していたといういことのようだが、さて、この時代の出版はどうだっただろうか。国の経済が厳しくなってくるなかで、紙の配給ということになる。実質的には、紙をコントロールすることで、出版を統制できたということにつながる。戦時中の出版については、かなり研究がすすんでいる領域だと思う。単に言論弾圧という面もあったが、反面、出版の側の忖度と自主規制ということもあった。

ドラマには出てきていなかったが、常子が和文タイピストの仕事をしていたということは、採用にあたって評価されていいことだったと思う。日本語の出版物で、一般に使う活字の種類がどれほどかということがあり、また、それをふまえて、和文タイプの仕様も決まっていたはずである。そして、文字についての知識がある。これは、今の観点から見ると、出版の仕事をするにあたって、かなり有利な知識であったはずである。

この週の放送で、最も印象に残っているのは、常子が会社を去るとき、給仕の男性がキャラメルをくれる。このときに、その男性の名前が、フルネームで、画面に表示されていた。科白としては、一言も出てきていなかったのだが、この男性にも、それなりの人生があって、今の仕事をしているのだろう。こういう登場人物のあつかいは、見ていて好感が持てる。

2025年8月9日記

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