世界のドキュメンタリー「プーチン大統領が狙う“5つの海” -覇権拡大への戦略-」2026-04-04

2026年4月4日 當山日出夫

世界のドキュメンタリー「プーチン大統領が狙う“5つの海” -覇権拡大への戦略-」

4月から、番組の名前が、「BS世界のドキュメンタリー」だったものから、「BS」の文字がなくなった。それから、Eテレの「ドキュランドへようこそ」が、同じく「世界のドキュメンタリー」に変わった。

2025年、フランス。

ロシアのウクライナ侵攻については、さんざん語られてきている。それを理解するのに、ロシアにおけるウクライナ観……歴史的にウクライナはロシアの一部であるとする考え方……から、説明されることが多かったかと思う。

この番組では、さらにさかのぼって、プーチンの考える、中央アジアへの覇権構想の一部として、ウクライナの問題をとらえている。それも、昔の、ピョートル大帝の時代の栄光をとりもどすことが、プーチンの夢(あるいは、妄想というべきか)だとも、語っている。旧ソ連の崩壊が、ロシアにとって悲劇的な事件であったということは、今のロシアのことを考えるうえで、やはり重要である。旧ソ連の構成国が、独立して主権を主張し、さらには、EUやNATOに近接していくのを、だまって見過ごすわけにはいかない。(賛否は別として)これはこれで、そのように考えるのは、理解できることではある。

五つの海という。カスピ海、アゾフ海、黒海、バルト海、白海、これらの海の覇権と、それをつなぐ内陸の交通路を抗争する。それから、北極海のことがある。(番組では言っていなかったが、おそらくこれは、中国の一帯一路構想と対立するところがあるはずである。ロシアと中国が、そこそこ仲よくしていられる間はいいとしても、これからどうなるだろうか。)

北極海にロシアが影響力を持とうとしている。これは、すでに、いろいろと言われていることである。日本では、小泉悠が、この動きに警鐘を鳴らしていたのだが、今にいたるまで、マスコミなどでは、北極海の覇権をめぐる世界の動きについては、反応が鈍いとしかいいようがない。アメリカのトランプ大統領が、グリーンランドの領有を言ったときには、特に(自称)リベラル左翼から、トランプ大統領の妄想として冷笑的に見ることがあったが、まったく、国際政治のリアリティに欠けるとしかいいようがないし、このあたりの感覚は、もう(自称)日本のリベラル左派に国際政治を語るセンスが絶望的に欠如しているということになったかと思って見ていた。

北極海をめぐっては、グリーンランドが、非常に重要な位置を占めることは確かなことで……こんなことは、地球儀を見ればすぐに分かる……ロシアに対抗して、アメリカやNATOが、グリーンランドへのプレゼンスを強化しようという動きに出ざるをえないことは、自明なことに思える。(それを、トランプ大統領が、かなり独特な個性的な表現で言っただけのことである。)

番組では日本のことは一言も出てきていなかった。しかし、ロシアが想定する、北極海航路は、日本海を通って中国につながっている。この視点では、日本は、ロシアと中国の、北極海を通じた北大西洋から太平洋にいたる覇権のあらそいの最前線に置かれることになる。良い悪いではなく、これが、現実なのである。

強いて思うことを言えば、日本がこれに対抗するには、原子力潜水艦しかないと思うが、軍事の専門家はどう考えるのだろうか。冬の流氷にとざされたオホーツク海、また、北極海で、空母をふくめて、通常の軍艦が、適切に行動できるのだろうか。潜行中はバッテリーで動く日本がこれまでに保有している潜水艦で、大丈夫なのだろうか。

いわゆる台湾有事は、将来的には北極海につながっていると考えるのは、決して誇大な考えではないと思っている。

2026年4月1日記

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