心おどる 歌舞伎女形 「(1)はなやか姫姿」2026-06-09

2026年6月9日 當山日出夫

心おどる 歌舞伎女形 「(1)はなやか姫姿」

中村米吉である。

こういう番組を企画するようになったのは、やはり、『国宝』のヒットがあったからだろうとは思う。(小説は読んだが、映画は見ていない。)

歌舞伎は、はっきり言って、チケットが高い。東京に住んでいて、歌舞伎座で、月々の公演を見ようとなると、普通のレベルの生活では、無理である。これも、席を選べば、いくぶん安くはなるだろうが、しかし、家族揃って観劇というようなことができる家庭は、少ないだろう。この意味では、負のスパイラルの中にあるといっていい。

しかし、伝統芸能としての歌舞伎についての関心は高まっている時代でもあり、なんとかしないと、これから不安であるという気持ちは、関係者が持っているはずである。絶滅危惧種とまではいわないにしても、かなり、その危険があるかなというのが、私の認識である。

しかし、その一方で思うことは、『国宝』の小説の中には、歌舞伎役者の隠し子など珍しくもなんともない、ニュースの価値はない……という意味のくだりがあるが、こういう価値観が、今の時代にはなくなってしまっているので、これも、またどうだろうかと思うところである。

たまたま、有吉佐和子の『役者廃業・三婆』が、新潮文庫の新刊で出ている。この「役者廃業」を読むと、昔の歌舞伎の世界とは、こういう面もあったのかと、納得するところがある。もちろん、小説として読んで、とても面白い。かたりのうまさで読ませる作品である。

作品の中に「芸格」ということばでてくる。こういうことばで、直感的に、そういうことだろうなあ、と思う人は、少なくなってきているのかとも思う。NHKでこういう番組を作ることが、もはや歌舞伎俳優の芸格を左右することはない、という判断があってのことにはちがいないが。

番組として、一番面白い部分は、やはりなんといっても楽屋での化粧と着付けのところ。バックヤードには、いっぱい面白いものがある。役者さんの使う白粉は、いったいどういう業者がどうやって作っているのだろうか。化粧の道具とかも気になる。

2026年6月4日記

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