BSスペシャル「未来を懸けた銅争奪戦-アフリカ 米中日の攻防-」2026-06-30

2026年6月30日 當山日出夫

BSスペシャル「未来を懸けた銅争奪戦-アフリカ 米中日の攻防-」

銅が重要な鉱物であるとして、それが、安定して(価格と量)供給されるならば、別に、どこの国で採れようと、どこの国の企業がその仕事をしていようとかまわないのが、理想とはいえる。しかし、現実に、特定の国にその採掘や精錬や流通を握られることになると、いわゆる経済安全保障という観点から、いろいろと懸念が出てくる。

中国がアフリカに手をのばしてきている。良く見れば企業の進出であり、実際としては経済的な侵略主義であり、悪く見れば新たな形でのコロニアリズムである。これは、かなり以前から言われていることだが、具体的な事例としては、この番組であつかった銅のことなどが、重要なことになる。

このようなことについては、いろんな方面から議論のあることだと思っている。結論としては……日本としては、さしあたって、中国に生殺与奪の権をにぎられないように、なんとかする、ということになる。

番組のメインの意図ではないのだろうが、中国系企業としては、現地の人びとのことも配慮して仕事をしている、福利厚生設備も用意している(体育館を作ったりしている)ということ……らしい。だが、実際の、現地の労働者の生活の実態は、決して良いということではない。休日をとることもできないで、はたらきづめになっている。生活も、以前よりはマシになったということはあるだろうが、世界的なレベルから見れば、あきらかに貧困層というべきである。古めかしいことばになるが、アフリカの貧困層を労働者として収奪している、ということになるだろう。

炭鉱労働者から成功者が出て、立派な家に住む、ということはないだろう。生活の水準が少し向上するだけである。そういう社会のシステムになっている。日本でであれば、かつての炭鉱労働者の長屋など思う浮かべればいいだろうか。

また、環境への影響もある。(こういうところについては、日本の目から見ると、やりたいほうだいやって儲ければいいのだという、印象をどうしても持ってしまう。昔の日本でのいくつかの公害の事例など思い出すところである。)

お金をもうければいいのだという、まさに資本主義の論理で動いているのが、今の中国という国であり、企業である、ということになる。資本主義であるとしても、企業の社会的責任……それは、現地のみならず、現代では、全世界におよぶ……ということを、いったいどう考えているのだろうか。ここは、中国の資本主義の論理と倫理、というようなテーマの研究になるのだろうが、どれぐらい研究されているのかと思う。アメリカ的な資本主義への批判は、いくらでもあるし、最近のテクノ資本主義、新たな階級社会、ということも議論されるようになってきている。だが、主に、アメリカのテック長者というような人たちのことが中心で、中国の会社や経営者のことは、まだ、本格的に議論されているようには思えないのだが、どうなのだろうか。

こういう中国系の企業が、現地の政府と対立することがあった場合は、これからどうなるのか。また、本国の中国共産党の影響や支配力は、どういう形で出てくるのか、政治と経済、さらには、国際社会のありかたにかかわって、これからおおきな問題になっていくことだろう。

問題は、銅だけのことではない。

気になったのは、番組の冒頭の部分。現地の鉱山を取材に行ったクルーの乗った自動車が近づくと、撮影が中断されていた。これは、いったいどういう理由によるものなのだろうか。鉱山の位置情報とか、設備の規模などぐらいだったら、今なら、衛星画像などで分かることだし、いったい何を隠そうとしていたのだろうか。これを撮影してはいけないとされた、その「これ」が何であるのか、とても気になる。

2026年6月26日記

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