『愚か者死すべし』2008-02-14

2008/02/14 當山日出夫

原尞.『愚か者死すべし』(ハヤカワ文庫).早川書房.2007(原著は、2004、早川書房)

※「尞」(リョウ)の字、このブログを読んでいるほどの人なら、第3水準漢字ぐらい見えるだろうから、もう注はつけなない、でおく。

この本、単行本で出たとき、すぐに買って読んだ。そして、新たに文庫本で出ても読んでしまう。そして、その次に何をするかというと、まったく前回と同じ……シリーズ第1作の『そして夜は甦る』を、再読、である。厳密には、再々々々読ぐらいになるかもしれないが。

というわけで、小学館の「日本の歴史」の2巻『日本の原像』(平川南)は、ちょっと後回し。

『そして夜は甦る』につづいて、『私が殺した少女』『天使たちの探偵』『さらば長き眠り』がある。しかしながら、おそらく、世の中の、かなりの人は、私と同じ行動パターンに従っているに違いないと判断する。それだけの魅力が、このシリーズにはある。

風俗的な背景・描写については、どうしても、時間がたつと古びるところがある。私の世代だと、第1作『そして夜は甦る』から読んでいるので、そう違和感を感じない。少なくとも、世の中から、タバコというものが無くなって(これはたぶん無いだろう)、ブルーバードという車種名が無くならない限りは。

當山日出夫(とうやまひでお)

大正イマジュリィ学会第5回全国大会2008-02-14

2008/02/14 當山日出夫

佐藤守弘さんのブログ「蒼猴軒日録」に載っていた。勝手に(笑)、こちらにも転載させていただくことにする。

http://d.hatena.ne.jp/morohiro_s/20080214#c


日程:2008年3月8日(土)、9日(日)

場所:京都精華大学、京都国際マンガミュージアム

主催:大正イマジュリィ学会

共催:京都精華大学、京都国際マンガミュージアム

スケジュール

大会スケジュール 3月8日(土) 於京都精華大学黎明館 L002教室 (京都市左京区岩倉木野町137)

13:45  第13回 研究発表会 第1部

高久直子(同志社大学大学院)「1911年の劇画性――鈴木松年筆《宇治川の戦図屏風》と祇園祭」

天内大樹(東京大学大学院)「分離派建築会と山東省」

15:30 精華大情報館にて開催中の「美少年美少女幻影――高畠華宵の世界」展見学

16:00 第13回 研究発表会 第2部

林田新(同志社大学大学院)「伊奈信男「写真に帰れ」再考――1930年代の「新興写真」を中心に」

富山由紀子(早稲田大学大学院)「小林かいちのビブリオグラフィー――親族へのインタビュー調査から」

上薗四郎(笠岡市立竹喬美術館)「共用した甲斐庄楠音のモデル」

3月9日(日) 於京都国際マンガミュージアム 多目的映像ホール(京都市中京区烏丸通御池上ル)

講演、シンポジウムに参加するためには、ミュージアム入館料(500円)が必要です。

10:30  高畠華宵生誕120周年記念講演会

講師:竹宮惠子氏(京都精華大学教授、マンガ家)  

聞き手:高畠澄江氏(高畠華宵大正ロマン館館長)

13:00  高畠華宵生誕120周年記念シンポジウム「高畠華宵とセクシュアリティ」

篠原資明(京都大学大学院人間・環境学研究科教授、哲学・美学)

ジャクリーヌ・ベルント(横浜国立大学教育人間科学部准教授、美学・マンガ研究)

永山薫(マンガ評論家、作家)

司会:石田美紀(新潟大学人文学部准教授、映像文化論)

同時開催:「美少年美少女幻影――高畠華宵の世界」展

於 京都精華大学情報館3F スペース「tatami」(3月8日~4月11日) 入場料無料  (日祝日休館)


當山日出夫(とうやまひでお)

文化遺産のデジタルドキュメンテーションと利活用に関するワークショップ2008-02-14

2008/02/14 當山日出夫

いろんなメーリングリストでも流れていると思うが、重複して困るというものでもなさそうであるから、ここでも紹介させていただく。このような行事があるという情報を、より多くの人が共有するために。

當山日出夫(とうやまひでお)


第2回 文化遺産のデジタルドキュメンテーションと利活用に関するワークショップ

主 催: 奈良文化財研究所、動体計測研究会(ARIDA)

後 援: (社)日本写真測量学会、(社)日本測量協会、日本イコモス国内委員会

日 時: 2008 年 3 月 8 日(土)昼~9 日(日)午後

場 所: 奈良文化財研究所 平城宮跡資料館 講堂

Web: http://www.nabunken.go.jp/shisetsu/nbk00.html

参加者: 文化遺産の記録、修復、保存および利活用に携わる国内の研究者、実務者、行政担当者など

参加費: 無料

懇親会: 有料(\3000) 3月8日(土)17:30-19:30(予定) 於 講堂

皆様、ぜひご参加下さい。

参加申込:お名前・所属・連絡先、懇親会参加/不参加の選択を、 ddch2@khn.nict.go.jp まで。

【実行委員会】 委員長:高瀬 裕(CIPA役員/立命館大学/㈱キャドセンター) 委員:門林 理恵子(情報通信研究機構)、金田 明大(奈良文化財研究所)、藤野千和子(東京大学)

プログラム(予定)

=3 月 8 日(土)=

12:30- 受付

13:30-13:45 開会挨拶 未定 (奈良文化財研究所) (司会:高瀬)

13:45-15:15 セッション1:

1-1 工芸的記録と工業的記録

宮原 健吾(京都市埋蔵文化財研究所)

1-2 発掘調査報告書とデジタル化

森本 和男(千葉県教育振興財団)

1-3 遺跡の場所性を探求すること-考古学研究における歴史空間の計測

山口 欧志(中央大学)

15:15-15:45 休憩

15:45-17:15 セッション2: (司会:近津)

2-1 無形文化財のデジタル保存・解析・利活用

八村 広三郎(立命館大学)

2-2 4 次元 GIS としてのバーチャル京都の構築

矢野 桂司(立命館大学)

2-3 失敗から学んだ計測

田子 寿文(アイテック)

17:30-19:30 懇親会

=3 月 9 日(日)=

9:00-10:30 セッション3: (司会:金田)

3-1 考古学における微地形情報の重要性-考古学の測量調査について-

三井 猛(三井考測)

3-2 彫刻文化財における三次元デジタルアーカイブ

山田 修(岡村印刷工業)

3-3 (未定)

塚本 敏夫(元興寺研究所)

10:30-10:50 休憩

10:50-12:20 セッション4: (司会:近津)

4-1 GIS を用いた考古遺物の分布解析における時間尺度の標準化と文化動態の視覚化に関する研究-東京・横浜地域の縄文時代網漁を題材に-

近藤 康久(東京大学)

4-2 GPS・写真測量・GIS を用いたインダス文明都市遺跡の調査・研究

宇野 隆夫(国際日本文化研究センター)

4-3 (仮題)デジタル文化資源の標準化動向について

門林 理恵子(情報通信研究機構)

12:20-13:30 昼食

13:30-15:00 セッション 5: (司会:門林)

5-1 (仮題)印刷文化財のモデリングとビジュアルビジョン

尹 新(立命館大学)

5-2 (未定)

伊藤 重剛(熊本大学)

5-3 デジタル高槻城

吉川 眞(大阪工業大学)

15:00-15:10 閉会挨拶 高瀬 裕(CIPA 役員・立命館大学・キャドセンター)

〓(ゲタ)は何を表象するか2008-02-14

2008/02/14 當山日出夫

3月21日の京大のセミナーの原稿を書かねばならんのだが、それよりこっちの方が気になるので、書いてしまおう。

さきに触れたように、もろさんのブログで、「ふり漢字」などのことが話題になっている。その中に「ふり〓」もある。

http://d.hatena.ne.jp/moroshigeki/20080212/1202826410

ここで考えるべきは次のような論点であろう。

まず、「〓(ゲタ)」のそもそもの意味というか、用法を知っているか。これは、旧来の活字(活版)印刷の時代、字がないとき、適当にある活字をひっくりかえして逆に埋め込んで、組版をした。つまり、本来「〓」という「文字」が「活字」として、存在するわけではない。しかし、印刷(活版印刷)の工程では、必須のものであるので、「〓」=「ゲタ」として、定着している。(『日本国語大辞典(第2版)』の「げた」に用例がある。

活版印刷が消滅するとともに、「〓」は自動的に無くなる。しかし、「無い字」を表すためには、何かの「文字」(あるいは「記号」)が必要。そこで、コンピュータ化するに際しても「〓」は残ることとなった。(と、私は理解している。間違っていたら、訂正してほしい。)

このような背景を知って、くだんの「ふり〓」を見ると、その文章は、異常なノイズをふくんだものとして読める。単なる「強調」ではなく、「存在することが許されないもの」という意味をふくむものとして読む。「〓」は「無い字」であるのだから。これは、私の読み方。

しかし、その「〓」の背景を知らない、若い読者、つまり、活版の校正ということを経験したことのない人間には、「〓」は、記号の中の一つにすぎない。だが、その記号としての「〓」が、どのようなニュアンスをふくんでいるかは、はっきりいって、私には、知り得ない範疇に属する。

このように考えると、単なる記号として「〓」ではなく、それを使用した作者が、何をそこで表現したかったか、どのような読者を射程に入れて書いたのか、ということを考えねばならなくなる。結局は、作者にきかないと、本当のところは分からないということか。

しかし、「〓」は、「記号」なのであろうか、それとも、「無い字」という「文字」なのであろうか……

當山日出夫(とうやまひでお)