東洋学へのコンピュータ利用(2) ― 2008-03-29
2008/03/29 當山日出夫
東洋学へのコンピュータ利用、2番目の発表は、私自身のもの。
當山日出夫 文字研究とデジタルアーカイブの現状と課題
これは、別に、論文として、『立命館白川静記念東洋文字文化研究所紀要』に投稿したものについて、コンピュータ利用の立場から、簡便に要約し、それに、補足的な説明を加えたもの。HNG(漢字字体規範データベース)の利用についての、若干の問題点を指摘した。このことについては、また、改めて、論文にしたいと思っている。
3番目は、
師茂樹、千田大介、二階堂善弘、山下一夫、川浩二 中国古典戯曲の文献の韻律の数理的分析に向けて
この発表、意図はよくわかる。そして、発表者自身、自ら指摘しているのは、中国戯曲として元以降のものをあつかうのに、『広韻』をつかうことの問題。このあたりは、中国音韻史の専門的な議論になる。とりあえず、この問題があることをわかったうえで、方法論として、とりあえずやってみた、と理解しておく。
4番目は、
山本一登、谷川清隆、相馬充 春秋日食再考
中国の古典として知られる『春秋』の日食の記述が、どれほど正確なものであるのか、現代の天文学の知見をもとに考証を試みたもの。日食の計算には、いろんな方式がある、ということを認めたうえで、結果が同じであるからといって学問的に無意味であるというのではない、現在の知見から最も信用のおける方法によって得た結果として、それは尊重すべきである……と、ことを強調していたのが印象に残る。
5番目は、
Christian Wittern Improving Findability : Faceted Search with Lucene , Solar and VUFind
『東洋学文献類目』を電子化していかに効率的に使うか、ということであると理解した。個人的には、紙の本の役割、というのをどう評価するか、今後の大きな課題であると思う。ただ、検索するためだけなら、コンピュータの利用を促進すべきである。ただ、その一方で、「読む目録」「目録を読む」という勉学の視点も、忘れてはならないと感じる。
當山日出夫(とうやまひでお)
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