日本アーカイブズ学会 (1)2008-04-27

2008/04/27 當山日出夫

4月19・20日と、日本アーカイブズ学会に行ってきたので、その私的なレポートを記していきたい。

そもそも、何故、私が、日本アーカイブズ学会に出て見ようと思ったのか、という点からいえば、いろいろ事情がある。

まず、立命館のグローバルCOE(日本文化デジタル・ヒューマニティーズ拠点)にかかわるようになると、どうしても、中核となるCH研究会や「じんもんこん」だけではなく、周辺の研究会・学会などに、関心を持たざるをえない。

世の中が全体として、種々の文化事象をデジタルであつかおうとしているのか、さまざまな視点から、各種の動向を把握しておく必要があると、私は、思っている。つまり、全体のなかでの、自らの位置づけを常に確認しておく必要性ということである。なお、この点では、ARGは非常に参考になる。

CH研究会や、GCOEでは、デジタルアーカイブという言葉を非常によくつかう。いや、使うようになった、というべきであろう。きちんと構造化されたデータベースでもないし、ただ、データをコンテンツとしてため込んだだけのものでもない……というあたりから、デジタルアーカイブという用語が使われるようになったのだと思うが、このあたり、永崎研宣さん論文を読み直して、あらためて考えてみなければならない。

が、ともあれ、「デジタルアーカイブ」という用語を、さかんにつかいながらも、その本家本元というべき、「アーカイブ」の専門家は、いったいどう「デジタル」について考えているのか、知っておくべきであろうと考えた。

それともう一つの理由は、今年度、映像学部の「デジタルアーカイブ論」なる授業を担当することになったので、急遽、「アーカイブ」について勉強しなければならない、さらに、その「デジタル」の意味について考えなければならない、という状況になった、ということもある。

19日の初日は、会員による総会と、その後の講演会(石井米雄さん)、懇親会であった。

正直な感想を言えば……知った人がほとんどいない。懇親会に出て、すでに顔なじみであった人といえば、八重樫さん(静岡大学)と研谷さん(東京大学)の二人だけ。いいかえれば、CH研究会などで常連である情報工学系、あるいは、私のような、人文学の側からコンピュータを使っている研究者、このようなメンバーが、ほとんどいない。「じんもんこん」の懇親会であれば、話しをする相手に困らないが、アーカイブズ学会の懇親会では、話しをする相手がほとんどいなかったというのが実情。翌日に発表の明星さん(埼玉大学)はいなかったし。

つまり、これは、そもそもの、人的な交流の欠如、と言っていいかもしれない。これは、今後、双方の分野にとって、不幸なことになりかねない。仄聞するところでは、アーカイブの専門の人たちの間では、「デジタルアーカイブ」の用語に批判的であると聞く。一方、CHなどの側からは、これまで積極的に「アーカイブ」とは何であるか、という問いかけをしてこなかった。ただ、今のCH研究会になって、主査・幹事の鈴木さん(歴博)の意向で、研究会のときに「アーカイブ」小特集を何度かやろうという動きになっているのは、よろこばしいことではある。

まあ、ともあれ、自分自身で、学会に足をはこんで、どんな様子か見てみよう。学会・研究会の口頭発表を聞くのが、一番、その分野でのものの考え方を知るのにてっとりばやい。

というわけで、日本アーカイブズ学会に出かけていった次第である。2日目の各研究発表やシンポジウムについての感想は、次回以降に記す。

當山日出夫(とうやまひでお)

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