『デジタルカメラ「プロ」が教える写真術』 ― 2008-09-04
2008/09/04 當山日出夫
いまだにニコンF2を持っている人間(もうあまり使うことはないが)、としては、デジタルになってから写真がつまらなくなったなあ……と常々感じている。つまり、昔の銀塩フィルムで、撮影のみならず、原像・焼き付けの暗室作業まで経験していると、新しく登場したデジタルカメラにある種のとまどいを感じる。
このことは、おそらく、この本の著者も同じであろうと推測する。デジタル写真は、銀塩写真とは別物である……と、明確に言い切っているのであるから。
ま、写真談義はともかくとして、デジタル化することによって、ある分野の仕事のワークフローが全く変わってしまう、ということの典型であるにちがいない。このことは、人文学研究や、その中でも、文字研究の分野でも、起こっている。
原稿用紙に万年筆、黒板にチョーク、図書館で参考文献を調べる、ごく当たり前の勉強の仕方が、デジタルになって変わってしまったことは、認めざるをえない。とにかく、変わってしまったという事実は、確かである。ただ、それがどのように変わっているのか、今後、どうなるのか、人文学研究者にとって、それぞれに考え方が異なるのが、一方での現状であろう。
ところで、この本、むかしの銀塩写真と、今のデジタルカメラと、両方を経験している人間でないと、少し理解がむずかしいかな、と感じるところがある。だからこそ、著者は、この本を書いたのであろうが。
で、私のオリンパスE-3、最近あまり使っていない。新しい、ニコンD70に乗り換えようか、迷うところである。この感覚は、デジタルカメラから写真を撮り始めた人には分からないかもしれない。35ミリフルサイズと、そのレンズ(画角・焦点距離と被写界深度)、これが、写真において、ある意味での文法を作ってしまったことは確か。
単に郷愁というべきなのか、あるいは、写真の文化というべきなのか。
長谷川裕行.『デジタルカメラ「プロ」が教える写真術』.講談社.2008.(講談社ブルーバックス)
當山日出夫(とうやまひでお)
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