2008-12-26: やまもも書斎記

『猿蟹合戦とは何か』 ― 2008-12-26

2008/12/26　當山日出夫

偶然とはいえ、一日のうちに、ある種の落差のようなものを感じることがある。

まず、笠間書院のメールマガジン46号で「人文学及び社会科学の振興に関する委員会」というものがあることを知った。ＭＭは、ここでの中野三敏さんのことに言及したもの。（これはこれとして私見がないではないが、それはおいておく。）

「人文学及び社会科学の振興に関する委員会」における主な意見（案）－「人文学」関係－

まあ、このようなことが文部科学省で論じられていることは、ある意味で興味深い。「輸入学問」という語まで、つかっている。それほど、現代日本の人文学研究は危機的状況にある。

その一方で、昨日、京都に行ってたまたま買った本。

『猿蟹合戦とは何か－清水義範パスティーシュ100　一の巻』（ちくま文庫）.清水義範．筑摩書房．2008

私は、『蕎麦ときしめん』以来、清水義範のファンというほどではないが、かなり読んできている。感想として、『猿蟹合戦とは何か』、この本１冊の価値は、文部科学省の議論を、軽々と超えている。いや、『猿蟹合戦……』が、分からない人間に、文化だの、文学だの、人文学だのと、言ってほしくはない。

独断と偏見であろうが、私としては、かくのごとく思う。

當山日出夫（とうやまひでお）