松田さんのコメントについて2009-02-26

2009/02/26 當山日出夫

松田さん、どうもありがとうございます。

確かに、国によって、文化財とか文書管理の考えかたが違いますね。アーカイブズの方から考えますと、一般的に言われているのは、

・ヨーロッパが最先端を行っている
・アメリカがそれを追いかけている
・中国や韓国なども頑張っている
・日本は、一番おくれている(いや、なにもしていない)

というようなことです。ちなみに、形式的なことかもしれませんが、日本では、ライブラリ(司書)、ミュージアム(学芸員)の、資格はあります。しかし、アーカイブズの資格はありません。現在、その公的資格制度確立のために運動中。

それから、渋沢財団/実業史研究情報センター
http://www.shibusawa.or.jp/center/index.html

ブログ:情報の扉の、そのまた向こう
http://d.hatena.ne.jp/tobira/

や、そのメールマガジンなどを読んで感じることは、アーカイブズの「論理」と「倫理」が、欧米においては、徹底していることです。

技術とか法的整備以前の、日常生活のなかでの感覚(記録をどう残すか)が問題であるように感じます。日本がどのような方向にすすむにせよ、その根幹をになうのは「教育」かもしれません。過去の資料(史料)から、何を読み取るのか。保存のための保存にとどまっては、何も価値がない。それを利活用してこそ、保存の価値がある。

美術館・博物館の収蔵品、また、図書館の本についても、ただ、保存のために持っているだけではなく、どう現代において、そして、将来に向けて、どう利活用するかを考えなければならないと思います。

なお、松田さんからのコメントが、重複していましたので、片方を非公開の状態に変更します。

當山日出夫(とうやまひでお)

コメント

_ 松田 清 ― 2009-02-26 18時14分05秒

「技術とか法的整備以前の、日常生活のなかでの感覚」、その通りと思います。オランダ(九州ぐらいの大きさ)に400余りの博物館があり、どの博物館でも、すくなくとも手書きの目録が完備しています。

私の研究調査から典型的な例をあげれば、江戸時代の長崎出島で亡くなったオランダ商館員については、必ずその所有物について、遺産目録(スプーン1個、メガネから書物に至るまで、実に細かい目録です)と売り立て目録(わずか12,3人の間で競売、たまに阿蘭陀通詞が参加します)が作成されました。そうした目録がわずかながら残っていて、出島の読書生活(彼らが何を読んでいたか)が分かりました。ロビンソンクルーソーもアラビアンナイトも読んでいました。目録作成の文化が個人レベルまで徹底していたわけですね。

もちろん、もっと沢山死んでくれればよかった、などと不謹慎なことを心にも思いませんが。ガリバー旅行記も出島で愛読されていたことが分かって、喜んだわけです。

伝統的日本は目録文化より写本文化の国で、これほどの写本大国は世界唯一でしょう。写本の目録化、資料の体系化、これは人文学(モノづくり、理工医学系写本も含めた文明学というべき)の基礎作業ですが、なかなか日本に根付きません。

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