「東洋史」の危機について思うこと2009-03-11

2009/03/11 當山日出夫

ARGカフェの関係で、いろいろブログなどを見て回っているが、そのうちで目についたもののひとつ。

Traveling LIBRARIAN -旅する図書館屋
アカウンタビリティと人材育成
「東洋史学の危機」と第3回ARGカフェ&フェスト

http://d.hatena.ne.jp/yashimaru/20090228

危機的状況にあるのは、別に「東洋史」に限らないと思う。おそらく、すべての人文学の領域は危機的状況にある。そして、問題は、その危機的状況と認識する研究領域も、近代的な、大学の制度(講座・学科・専攻・学会)のなかで、構築されたものであること。

学問と教育の衰退もあるが、同時に、それをささえる枠組みの崩壊ということも考えねばならない。では、それを、もっとも下部から支える構造とは何か。人文学的基礎教養(リベラルアーツ)になるだろう。

これは、大学教育で、どうこうなるものではない。高校までの総合的なカリキュラムで考えなくてはどうしようもならない。

そして、その一方で、「知」のデジタル化が急速に進んでいる。その代表が、Wikipedia。問題なのは、そこに記述されていることが正しい/正しくない、ではなく、安定性/流動性、にあること。これは、ARGカフェで、私が述べたこと。

この、デジタルによる知の安定性/流動性、という方向に、今の、文学部の「制度」が耐えられるかどうか。東洋史学が亡びるなら、同時に、文学部も亡びるだろう。いっそのこと、文学部を解体して、人文教養学部、にするか(いや、もう、すでに、そうしている大学もあるのだが。)

當山日出夫(とうやまひでお)

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