漢字で書かなければならないということ2009-04-05

2009/04/02 當山日出夫

ARGの岡本さんが、紹介していた本。

http://d.hatena.ne.jp/arg/20090327/1238108166

牟田静香.『人が集まる! 行列ができる! 講座、イベントの作り方』(講談社+α新書).講談社.2007

この本は、これとして、非常に有益な内容なのであるが、気になったのは、文字についての以下の箇所。別に、ARGとは関係ないのであるが。

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区報など行政の広報では、何日もかけて考えたタイトルを簡単に変えて載せてしまうので要注意です。今は方針が変わりましたが、当時は「『ココロ』としてくれ」と言っても、「漢字で書けるものはカタカナではダメだ!」ということでした。『お父さんと一緒』も本当は『子育て応援団@エセナ 「おとうさんといっしょ!」』だったのに、最初のフレーズは削除され、「おとうさんといっしょ」はすべて漢字になっていました。
p.103
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漢字で書かないといけない、いかにも役人らしい発想である。

いまでは、そうでもないらしい。しかし、そんなに杓子定規にならなくてもよいように思える。小学校なら、習った漢字(教育漢字)は、漢字で書きなさい、という指導もあり得る。だが、日本語一般の文字使用は、もっと柔軟な発想であってよい。

漢字で書くということよりも、より多くの人をあつめる、ということの方が大事であるはず。

また、現行の「常用漢字」も、あくまでも「目安」であるのだから。

當山日出夫(とうやまひでお)

「飛翔体」考2009-04-05

2009/04/05 當山日出夫

だいたい、ことの経緯は、「明窓浄机」の方に書いておいた。また、おがたさんの「もじのなまえ」でも言及がある。

明窓浄机
http://d.hatena.ne.jp/YAMAMOMO/20090405

もじのなまえ
http://d.hatena.ne.jp/ogwata/20090405/p1

いったい、日本国政府は何をかんがえていたのか?!

ミサイルとも、人工衛星とも、確認できない段階で、断定的な表現は避けた。この政治的配慮については、わからなくもない。しかし、そうであるならば、北朝鮮が、「ミサイル/人工衛星/テポドン」の発射を予告した時点において、その時に、どう日本国政府として発表するか、用語をかんがえておくべきである。

そして、もし、考えた結果が「飛翔体」であったとするならば、誰が、「新常用漢字表(仮称)」試案、にまともに取り組もうとするだろうか。他にいくらでも表現の仕方があるだろう。やや長いが「ミサイルと思われる飛行物体」でもいいではないか。

北朝鮮のミサイル発射問題とは別に、日本国政府としての、文字使用の感覚に怒りを感じる。本当に緊急事態であるならば、やむをえない。だが、今回は、十分に、時間的余裕があったはず。いったい日本国政府として、何を考えていたのか。

少なくとも、今回のことがあった以上、防衛省としては(というべきか)は、「翔」の時を「新常用漢字表(仮称)」に、入れることを求めるべきだ。また、文化庁としても、この字については、緊急に、「翔」を追加した改訂案を出す必要があるだろう。でなければ、行政としての一貫性は保てない。「新常用漢字表(仮称)」の説得力もない。

當山日出夫(とうやまひでお)

NHKも見はなした常用漢字「翔」2009-04-05

2009/04/05 當山日出夫

7時のNHKニュースでも、「飛翔体」の語をつかっている(ルビなし)。画面で見ると、読売新聞の号外は、「ミサイル」。ともあれ、この件によって、「飛翔体」という語の表記が、日本語に定着するかどうか。事件のインパクトが強いだけに、今後のゆくえが気になる。

しかし、NHKの校閲は何をしているのだろう。放送の文字は、「常用漢字」を目安にするはずではないのか。せめて、ルビぐらいつけたらと思う。

NHKも見はなした「常用漢字」、ということになる。

當山日出夫(とうやまひでお)

追記

「飛翔体」は、防衛(軍事)関係の専門用語であるらしい。

「もじのなまえ」のコメント
http://d.hatena.ne.jp/ogwata/20090405

それから、「日本語練習中」
http://d.hatena.ne.jp/uakira/20090405

當山日出夫(とうやまひでお)