飛翔体:本当の緊急時ならまず「わかりやすさ」が優先2009-04-07

2009/04/07 當山日出夫

まあ、「飛翔体」の用語・用字をめぐって、議論できるぐらい、日本は平和なのである。漱石『猫』の家のようである。

ただ、言っておかなければならないと思うのは、本当の緊急時=「飛翔体」が攻撃ミサイルであった場合、政府は同じように「飛翔体」と言うだろうか、ということ。本当の緊急時に、何よりも優先するのは、「わかりやすさ」。

今回、たまたま、北朝鮮による、事前の予告もあり、衛星写真が報道でながれたりして、あらかじめ予想できていた。不慮の事態、たとえば、二段目が飛ばなくて日本国内に落ちるとか、こんなことが無かったからいいようなものである。

普通の人々の分かることばで、緊急に、ことを告げなければならない。そのときには、常用漢字の制限とか、国際政治的な配慮とかは、無用になる。まず、わかりやすいこと。これが、最優先。

日本政府は、この「わかりやすさ」ということに配慮したであろうか。

そのうえで、特に緊急の危機になることは無いと予想していたならば、「飛翔体」の用語は適切であったかどうか。用語は、事前に政府内で決まっていたはずである。また、それを報道する新聞などは、どのような用語・用字で対応すべきか、というあたりのことの問題になるかな、と思う。

テレビの報道での表記の混乱ぶりをみると、報道関係もあまり考えていなかったかと思われる。

當山日出夫(とうやまひでお)