『放浪記』2009-06-03

2009/06/03 當山日出夫

森光子の国民栄誉賞、というわけでもないが、本棚から、『放浪記』(林芙美子)をとりだしてきて、再読。いや、再々々々・・読、ぐらいになる。

確か、高校のときの国語の教科書にのっていた。

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その店先には、町を歩いている女とは正反対の、これは又不健康な女達が、尖った目をして歩いていた。
(p.11)
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「教科書」には、注がついていなかった。しかし、授業中に先生が、この女性は娼婦であると解説を加えてくれていたのを、記憶している。

林芙美子、その評価はいろいろだろう。まずは、『放浪記』の作者。近年では、『林芙美子と昭和』(川本三郎)、そして、ポストコロニアリズムからの林文子論。

とはいいながら、『放浪記』はいい作品である。たしかに、現在の価値観からすれば差別的な表現はたくさんあるのだが。私の手元にあるのは、新潮文庫、2002(平成14)年、第42刷(改版)。「現在の人権感覚では~~~」などの、注記はついていない。

余計なことだが、学校へ行けなかった子供達が普通であった時代。これは、そんなに昔のことではない。

當山日出夫(とうやまひでお)

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