電子図書館とオリジナルの書物2009-09-01

2009-09-01
當山日出夫

この件、ARGのイベントカレンダーに掲載されていない。

私は、直接には、第3回資料保存シンポジウム(2009年10月16日、江戸東京博物館)の件を、JADS(アート・ドキュメンテーション学会)のHPに掲載するついでに知った。

http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/data_preserve22.html

以下、概略を記す。

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国会図書館 第20回保存フォーラム

10月6日
講演「オランダにおける保存研究プロジェクト-電子図書館におけるオリジナルの保存の役割と国家戦略と研究成果」

10月7日
講演「オランダ王立図書館所蔵特別コレクション『紙の歴史』をめぐって」

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特に、第1日目の講演は非常に興味がある。国会図書館の大規模デジタル化、グーグルブックサーチ、これはこれで議論があるだろう。それと同時に大切なのは、デジタル化したもとのオリジナルの本はどうなるのか、という視点だと思う。

當山日出夫(とうやまひでお)

カバンとオンラインショッピング2009-09-02

2009-09-02 當山日出夫

ここ数年、出かけるときは、ほとんど毎日のように使っていたカバンが、ついにこわれた・・・といっても、底に穴があいてしまった。ペットボトル用のポケットがついているので、そこに、夏場など飲み物を入れていたが、どうやら、そこにだけ負担がかかりすぎたらしい。

たいてい、カバンがいたむ場合、ファスナーのあたりかと思うが、今回は、底の部分。これでは、地面がぬれているようなところで、カバンを置けない。

カメラバッグにすることもあるので、かなり過酷な使用をする。

あれこれ考えてオンラインショップで、同じものを買うことにした。選択肢はふたつある。
1.ダイレクトにその店のオンラインショップ
2.楽天
価格にさほど違いはない。上記の 1 をえらぶと、ユーザ登録を新たに要求される。しかし、楽天なら、すでに登録済みなので、その壁がない(しかも、楽天ポイントが付加される)。

さて、このようなこと、次の本を読んで実感するところでもある。

夏野剛.『グーグルに依存し、アマゾンを真似るバカ企業』(幻冬舎新書).幻冬舎.2009
http://www.gentosha.co.jp/search/book.php?ID=300478


タイトルは過激(?)であるが、書いてあることはいたってまとも、と私には読める。著者は、NTTで、iMODEをたちあげた人物。NTT自身は、コンテンツ制作には一切かかわらないという決断を下している。

このあたり、ネットビジネスの本ではあるが、学術情報の流通という視点から読むと、いろいろ考えるところがある。

當山日出夫(とうやまひでお)

第15回公開シンポジウム「人文科学とデータベース」論文募集2009-09-03


2009-09-03 當山日出夫

去年までは、おおむね12月だったと記憶するが、今年は11月の末。恒例の公開シンポジウム「人文科学とデータベース」の案内。メールでもらった案内をそのまま以下に転記する。(改行など一部改変)

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 ━━━━━━━━━━ 論文募集 ━━━━━━━━
 第15回公開シンポジウム「人文科学とデータベース」
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

開催日: 2009年11月28日(土)
会 場: 神戸大学国際文化学部
    (神戸市灘区鶴甲1-2-1 鶴甲第1キャンパス)

【主催】第15回公開シンポジウム「人文科学とデータベース」実行委員会
【共催】大学院教育改革支援プログラム
    「文化情報リテラシーを駆使する専門家の養成」
    (神戸大学大学院国際文化学研究科)
【共催】メディア文化研究センター
    (神戸大学大学院国際文化学研究科)
【後援】人文系データベース協議会

【募集論文テーマ】
一般テーマ:
 ・人文科学や芸術におけるデータベース構築の企画、事例、応用、支援
  ツールや周辺技術に関する研究
 ・人文系における地理情報処理に関連する研究
 ・人文系における数理モデルに関する研究
 ・人文系データについての情報処理的研究

【応募期限】
 ★講演発表申込締切 2009年10月7日(水)
 氏名・所属・論文タイトル・内容あらまし(200字程度)・住所・Emailアドレスを事務局までEmail等でお送りください。

 ★論文集原稿提出締切 2009年11月11日(水)
 実行委員会所定の様式(発表申込者に送付)にしたがって執筆のうえ事務局に送付してください。図表込で約5000字程度です。

【事務局】
 清光 英成
 神戸大学大学院国際文化学研究科
 〒675-8501 神戸市灘区鶴甲1-2-1
 kiyomitu■kobe-u.ac.jp
 Tel & Fax:078-803-7416

【ホームページ】
http://www.osakac.ac.jp/jinbun-db/5.html
http://www2.cla.kobe-u.ac.jp/cmec/jinbunsympo2009/

【シンポジウム実行委員会】
実行委員長:森下 淳也(神戸大学)
実行委員 :岡田 浩樹(神戸大学)
      定延 利之(神戸大学)
      清光 英成(神戸大学)
      小森 政嗣(大阪電気通信大学)

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當山日出夫(とうやまひでお)


追記 2009-09-03
ホームページのURLが公開になったので更新

グーグルブックスとドラえもん2009-09-03

2009-09-03 當山日出夫

今日(9月3日)は、ドラえもんの誕生日。だから、今日の、Googleのトップの画面は、ドラえもんになっている。しかし、画面には、(C)の表示は無い。証拠を残すため、画面をPDF化しておいた。

いま、世界中で読まれている『ドラえもん』は、グーグルブックスでは、どうなるだろうか。

ところで、今日の朝日新聞を見ると、対照的な二つの記事がある。
URLは記すが、asahi.comは、記事の保存期間が短いので、リンク切れになることは確かなのであるが。

一つは、長尾真さん(国会図書館長)による、デジタルライブラリ(電子図書館)の構想について。
〈ネットはいま〉かわる―2 日本なりの電子化探る
http://www.asahi.com/digital/internet/TKY200909020197.html

もう一つは、
49出版社が和解案から離脱 グーグルの書籍デジタル化
http://www.asahi.com/digital/internet/TKY200909020285.html

国会図書館の大規模デジタル化についても、いろいろ問題をかかえているようである。「本」という物理的な存在の意味、これを考えるのは、まずもって教育においてであろう、と私は思う。だからといって、考えがまとまっているわけではない。しかし、「教育」という視点をもたずに、出版社・著作権者の利害だけで論じることのできない問題ではあると、思うのである。

當山日出夫(とうやまひでお)

日本文藝家協会とGoogleと利権としての著作権2009-09-03

2009-09-03 當山日出夫

この件、ARGからのリンクをたどって、ブログを読んで知った。

ARG
http://d.hatena.ne.jp/arg/20090901/1251791161

Copy & Copyright Diary
三田誠広氏が考えていること
http://d.hatena.ne.jp/copyright/20090803/p2

佐々木譲の備忘録
日本文藝家協会が山分けするもの
http://sasakijo.exblog.jp/8748772/

ここで「三田誠広」の考え方について「佐々木譲」がどう評価しているか、「引用」すると、

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要約すれば、日本文藝家協会に著作権管理をまかせると、文藝家協会がその著作権使用料を取り立てて、協会で使う。著作権者には支払わない。日本文藝家協会で「山分け」する。

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グーグルブックサーチ、国会図書館の大規模デジタル化、これらをめぐる議論には、はっきりいって「カネ」がからむ。では、そこで「カネ」が動くとして、誰がどのように利益を得るのか、あるいは損をするのか、抽象論ではなく、具体的に語るときにきているように思う。

電子図書館について、著作権保護という理念だけでは、もはや先にすすまない。われわれは、すでに、この段階にきてしまっている。これが私の認識である。

當山日出夫(とうやまひでお)

しれっとして2009-09-04

2009-09-04 當山日出夫

いま、ようやく『軍艦武蔵』(新潮文庫)の下巻にさしかかったところ。この本、いたるところに、海軍用語が出てくる。「大尉」には、意図的に「だいい」とルビがあったりする。

そのなかのひとつ「しれっとして」がある。上巻のp.209、下巻のp.345(これ以降ににあるかもしれないが、まだ読んでいない。)

このことば、何時おぼえたかは忘れた。しかし、その出典が、吉田満の著作であったことは記憶している。

現代日本語でも「しれっとして」という語がある。これは、海軍用語をうけついでいるものなのだろうか。それとも、別ルートで生まれてきたのか。もはや、しらべあげるだけの気力もない状態だが、気になったので書きとめておく次第。

當山日出夫(とうやまひでお)

NPO記録と表現とメディアのための組織:記録と記憶について2009-09-04

2009-09-04
當山日出夫

すでに、第15回公開シンポジウム「人文科学とデータベース」の公募がはじまったことは書いた。

やまもも書斎記 2009年9月3日

http://yamamomo.asablo.jp/blog/2009/09/03/4560393

神戸大学のHP

http://www2.cla.kobe-u.ac.jp/cmec/jinbunsympo2009/

その神戸大学のHPをみると、

大学院教育改革支援プログラム「文化情報リテラシーを駆使する専門家の養成」

というのが目についたので、クリックしてみる。

http://cil.cla.kobe-u.ac.jp/

この中の「セミナーイベント情報」がある。

http://cil.cla.kobe-u.ac.jp/seminar/seminar.html

ここを見ると、時期は未定とあるが、

REMO(NPO法人 記録と表現とメディアのための組織)との連携セミナー「町の映像記録」(仮題)

が目についた。で、これを検索すると、

NPO法人 記録と表現とメディアのための組織

http://www.remo.or.jp/ja/

にたどりつく。ここをみると、たとえば、

みんなでつくろう! DIY式・映像の新しい取り扱い説明書 「思い出すことへの順路と帰路」- それぞれが映像を誤読する -

http://www.remo.or.jp/ja/2009/0206-218.html

など、「アーカカイブズ」の観点から見て、非常に興味深い。記録されたものから、ひとは何を記憶としてつくりだすのか、私なりに解釈すると、このようになる。通常、アーカイブズ学は、「記憶→記録」の方向で考える。この逆もあるだろう。「記録→記憶」である。

當山日出夫(とうやまひでお)

『グーグル革命の衝撃』2009-09-06

2009-09-06 當山日出夫

NHKスペシャル取材班.『グーグル革命の衝撃』(新潮文庫).新潮社.2009
http://www.shinchosha.co.jp/book/128371/

この本の単行本は、出たときにすでに買っている。しかし、たった2~3年で、状況は大きく変わる。今、当面する課題は、ストリートビュー、そして、言うまでもなく、グーグルブックス。

おそらく、グーグルブックスをめぐる種々の議論は、そもそも出版とは、図書館とは、書物とは、読書とは、という限りなく根源的な問いかけをふくんでいる。また、そのようなものとしてとらえない限り、未来はみえない。ただ単に、グールグルと和解する/しない、離脱する、というレベル(まあ、確かに、出版社や著作権者にとっては、まずこの判断が必要ではあるが)では、本質的なことは議論できないだろう。

少なくとも、リテラシとメディア、という観点を抜きにして、デジタルライブラリを語ることはできない。

文庫版の後書きに次のようにある。引用すると、

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しかし、今後とも続くであろう波紋は、実は氷山の一角でしかない。なぜなら、最も大きな変化と問題は、静かにパソコンの前に座り続け、膨大な数の検索を使う「人々の心の中」で起きていることに他ならないからだ。世界中の個人の内側では、今も常に「このサービスを使うかどうか」という選択が無意識に行われ、それが人々の心の内を大きく変え続けているからである。もしも、人々の意識が「無意識に使う検索」によって操作できるとしたら、それこそまさに「世界を変える革命」に違いない。

しかし、それは人々が何かを失う代償の結果、成り立つ革命になるだろう。(以下、略)

p.352

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革命は、心の中で起こる。そして、その代わりに何かを失う。

われわれは、デジタルライブラリ(電子図書館)によって、どのように変わっていくであろうか。それは、何を得るのか、また、何をうしなうのか。

少なくとも、利権としての著作権「カネ」の問題も重要である。しかし、それだけに終わらない議論であるということを認識しておきたい。

當山日出夫(とうやまひでお)

『ARG』391号の感想2009-09-07

2009-09-07 當山日出夫

『ARG』391号を読んで思ったこと、いささか。
http://d.hatena.ne.jp/arg/20090907/1252253880

まず、
・大阪教育大学附属図書館デジタルコレクション
http://ir.lib.osaka-kyoiku.ac.jp/digital-collection/

これの「リンク」についての注記の意味が、岡本さん同様、よくわからない。私の立場としては、

・インターネットの世界は、リンクは自由。

・ある意味でのコミュニケーションとして、リンクしたことの通知を求めることはってもいいかもしれない。誰に、どのように、リンクされて、使用されているか、HP作成者にとっても、将来の改善のために必要であることも、考慮の余地はある。しかし、義務ではない。

・リンクを禁止する、これは理解できない。
たとえば、教育掛け図コレクションのリンク集、というものを誰かが作ろうと思ったとき、それにはふくめるな、ということか。いや、それ以前に、『ARG』などで、紹介することすら出来ない。これでは、いったい何のための公開であるのか。

この問題、場合によると、デジタルライブラリ(グーグルブックス、国会図書館)にも、関係してくるかもしれない。

それから、国文学研究資料館の英語のアイコンの問題。英語だから国旗のアイコンを使ってしまうのかもしれない。これが、朝鮮語(韓国語)であれば、どうすべきか、考えてみればすぐに問題はわかるだろう。

なお、私は、基本的に「朝鮮語」の名称を使用する。「ハングル」は、文字の名称としている。

また、いずれ感想を書くつもりだが、『ヤシガラ椀の外へ』(ベネディクト・アンダーソン)では、イギリス語・アメリカ語、の用語を使っている。

當山日出夫(とうやまひでお)