『グーグル革命の衝撃』2009-09-06

2009-09-06 當山日出夫

NHKスペシャル取材班.『グーグル革命の衝撃』(新潮文庫).新潮社.2009
http://www.shinchosha.co.jp/book/128371/

この本の単行本は、出たときにすでに買っている。しかし、たった2~3年で、状況は大きく変わる。今、当面する課題は、ストリートビュー、そして、言うまでもなく、グーグルブックス。

おそらく、グーグルブックスをめぐる種々の議論は、そもそも出版とは、図書館とは、書物とは、読書とは、という限りなく根源的な問いかけをふくんでいる。また、そのようなものとしてとらえない限り、未来はみえない。ただ単に、グールグルと和解する/しない、離脱する、というレベル(まあ、確かに、出版社や著作権者にとっては、まずこの判断が必要ではあるが)では、本質的なことは議論できないだろう。

少なくとも、リテラシとメディア、という観点を抜きにして、デジタルライブラリを語ることはできない。

文庫版の後書きに次のようにある。引用すると、

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しかし、今後とも続くであろう波紋は、実は氷山の一角でしかない。なぜなら、最も大きな変化と問題は、静かにパソコンの前に座り続け、膨大な数の検索を使う「人々の心の中」で起きていることに他ならないからだ。世界中の個人の内側では、今も常に「このサービスを使うかどうか」という選択が無意識に行われ、それが人々の心の内を大きく変え続けているからである。もしも、人々の意識が「無意識に使う検索」によって操作できるとしたら、それこそまさに「世界を変える革命」に違いない。

しかし、それは人々が何かを失う代償の結果、成り立つ革命になるだろう。(以下、略)

p.352

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革命は、心の中で起こる。そして、その代わりに何かを失う。

われわれは、デジタルライブラリ(電子図書館)によって、どのように変わっていくであろうか。それは、何を得るのか、また、何をうしなうのか。

少なくとも、利権としての著作権「カネ」の問題も重要である。しかし、それだけに終わらない議論であるということを認識しておきたい。

當山日出夫(とうやまひでお)