ARG409号の感想2010-01-11

2010-01-11 當山日出夫

ひさしぶりに『ARG』の感想を書く。ずっと読んではいたし、授業でもとりあげてはきたのだが、このブログに書く余裕がなかなか無かった。

今回、紹介されているなかで興味深いものは、まず、国立民族学博物館の近代日本の身装電子年表、であろう。この「年表」で、種々の文化的事象などを整理して見せる方法は、人間文化研究機構などでもこころみがなされている。そのなかにあって、実用的に使える段階のものとして、また、テキスト・画像を組み合わせたものとして、これは、非常に興味深い。

http://htq.minpaku.ac.jp/databases/mcd/nenpyou/

ちなみに、今から100年前のお正月を見てみると、それはそれなりに面白いものがある。不況であり職人の衣服はまずしくなっている、大相撲には東宮殿下がおでましになり、と。

それともうひとつは、アジア歴史資料センターのコンサイス版である。

http://www.jacar.go.jp/concisejacar/index00.html


おおむね、専門的なデータベースは、専門家が知っていればいい、専門家だけがつかえればいと、そっけないものが多い。単に、検索語をいれるだけ、というようなもの。いったいどんなものがあるのか、事前に知っている人間でないと、なにも手がだせない。紙の本をパラパラめくってみて、ざっとこんな本なんだなとわかる、これが電子的な媒体、特に、データベースには欠如している。

いきなり、人名と地名、年代を入力してくださいと、表示されても、とまどうばかりである。

この観点から見て、アジ歴とはこんな史料(資料)を、こんなふうに見せていますよ、そして、より詳しくは、専門の検索画面から……と、手引きになっている。このようなこころみは、他のデータベース公開でも、是非ともマネしてもらいたいものである。

ところで、岡本さんも、キンドルを使ってみているようである。図書館が、紙の本だけのところから、電子的なコンテンツをあつかうようになるとどうなるだろうか。山中湖情報創造館のこころみが紹介されている。これには、非常に興味深いものがある。

2010年1月9日
http://d.hatena.ne.jp/arg/20100109/1263001124

山中湖情報創造館のことは、今後も注目していきたいと思う。

當山日出夫(とうやまひでお)