Ustream+Twitterの拓く世界2010-03-10

2010-03-10 當山日出夫

いま、これを書いている、ちょうど同じ時間帯になるが、東京大学(本郷)で、情報処理学会の大会をやっている。そのなかの一つのセッション、

CGMの現在と未来:初音ミク、ニコニコ動画、ピアプロの切り拓いた世界

まず、情報処理学会に、初音ミクに、ニコニコ動画が堂々と登場するのに、ちょっとおどろく。ま、これも、CGMの観点からみれば、取り上げられて当然のながれか。

そして、もうひとつは、このセッションは、Ustreamで実況中継されている。同時に、Twitterでのコメントも同時に見られる。

このようなこと、他の「学会」であるだろうか。私の経験の範囲内で、
Ustream+Twitter
というのが、表だって出てきたのは、半年もさかのぼらない。あっというまにひろがってしまった。今では、何かイベント(研究会・シンポジウム)があれば、そのTwitterのハッシュタグがなんであるか、Ustream中継はあるのか、探してしまうようになっている。

これに、さほどの技術も機材も(もちろんお金も)必要ない。必要なのは、ちょっとした発想の転換と、やる気だけである。

今年(2010)もいろんな学会、研究会など出るかと思うが、そのうちどれほどが、この新しい潮流にのってくるだろうか。ある意味で、楽しみでもある。

しかし、この「Ustream+Twitter」というのを、知らない人に言葉だけで説明するのは、とても難しいなと思う。これこそ、百聞は一見に如かず、である。自分で、体験してみるしかない。その気になって、Twitterのつぶやきを探していけば、(私のフォローしている範囲ではであるが)すぐに見つかる。

このような時代になっているからこそ、リアルに人と人とがあつまる、学会、研究会のあり方というものを、考え直したいものである。さて、今年は、どうなるか……である。

當山日出夫(とうやまひでお)

追記 2010-03-10
Twitterのハッシュタグは、
#cgmgenzaimirai

編集文献学「書物の未来 文学の未来」2010-03-11

2010-03-11 當山日出夫

立命館のメーリングリストでながれているし、ホームページもちゃんとあるのだから、ここに書いたってかまわないだろう。

2010年3月26日(金)
21世紀の編集文献学を考える国際会議
「グローバル化デジタル化学際化の光と影」
8:50-17:40
埼玉大学 教養学部棟2階 大会議室
定員 50名 ※事前申し込みが必要

2010年3月27日(土)
21世紀の編集文献学を考える国際会議
「書物の未来 文学の未来」
13:00-17:00
印刷博物館 グーテンベルクルーム
定員 80名 ※事前申し込みが必要

プログラムの詳細など、および、参加登録フォームはこちらから。
http://www.kyy.saitama-u.ac.jp/users/myojo/textjapan-j/

當山日出夫(とうやまひでお)


無線LAN雑感2010-03-12

2010-03-12 當山日出夫

自分の書斎から離れたときぐらいは解放されたいという気持ちがあるので、いまのところ、無線LANは基本的に使用しないことにしている。

人によっては、新幹線の中でも、ノートパソコンで仕事という人もいる。しかし、もうそれは無理だなと感じる。目がもたない。二焦点レンズの眼鏡でディスプレイを見るのはつらい。それよりも、明暗が変化する環境で、本を読んだり、ディスプレイをみたりするのが、耐えられなくなってきた。ようするに、もう、としなのである。


そうはいっても、たまに外出先で、あるいは、東京に行ったり、学会などのとき、インターネットにつなぎたいなあ、と思うことがないではない。いまでは、そう価格的にも、そう高いコストではない。

だが、やはりここは……家を出たときぐらいは、コンピュータやインターネットから解放された時間にしたい、という方針をしばらくつらぬくことにする。携帯電話も持ってはいるが、つかうのは、もっぱら音声通話のみ。テンキーからの文字入力は苦手。かといって、iPhoneにするには、ちょっと抵抗がある。もうすこし字が大きい方がいい。

常に服のポケットにいれておくということの必要性を感じない。カバンにいれておく。移動は、主に自動車。こういう人間には、もうひとまわり大きなサイズで、字が大きくて操作性のいいのがあってもいい。

『天皇の世紀』(大佛次郎、文春文庫)、第二巻を読んでいる途中。すでに、第三巻まで刊行だというのに。こういう本を読む時間こそ、WEBなどから、解放された時間として大事にしたい。

當山日出夫(とうやまひでお)

『天皇の世紀』2010-03-13

2010-03-13 當山日出夫

大佛次郎の『天皇の世紀』(文春文庫版)を、読み始めている。この前で、朝日新聞社の普及版も持っているのだが、文庫本の方が読みやすい。それに、まあ、いまからならなんとか毎月1冊ぐらいはどうになかなるだろうということもある。すでに、三巻が出ている。いま、ようやく二冊目にはいったあたり。

時間が違うのである。WEBなど、あるは、リアルの生活のなかでの時間と、その流れるはやさがちがう。

ものがたりは、幕末の御所の様子の描写からはじまる。中世のたたずまいをのこし、ただひたすら、むかしのままを維持することを自己目的化した、時間のとまったような空間とそこに生活するひとびとの様子が、ことこまかに描かれる。

江戸の時代においてさえ、時間のながれが、外の世界と違っているような場所。それを、今の時代に、稠密に描写していく。この時間のながれの落差が、この作品の魅力のひとつと言っていいだろう。

手軽に、明治維新とは……となれば、新書本で歴史をひもとけば、それなりの知識は得られる。だが、この物語(といっていいだろう)から得られるのは、明治維新もまた長大な時間の流れのなかでおこったことなのだ、という当たり前の感覚である。

えてして、手軽に答えを本に見いだそうとする現代、ただ、ひたすら、時間の流れを、その時間にそって記述している、この史伝というべきものがたりは、それだけで、屹立した価値がある。

當山日出夫(とうやまひでお)

本の未来・未来の本を考える2010-03-14

2010-03-14 當山日出夫

いけなかった研究会である。残念なのだが、このような会があったことを記録にとどめる意味で紹介だけしておこう。

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国立情報学研究所
「本の未来・未来の本を考える」講演会

http://www.nii.ac.jp/events/2009/0309/

日時:2010年3月14日(日) 13:30~16:45 (13:00開場)

会場:一橋記念講堂 (東京都千代田区一ツ橋 2-1-2)

題目:蔵書全文デジタル化の先に見える図書館の未来

講師:マイケル・ケラー(スタンフォード大学図書館長)
   Michael A. Keller(Univ. Librarian, Stanford Univ.)

進行・聴き手:高野明彦 (国立情報学研究所)

プログラム:
 13:30~15:00
  「蔵書全文デジタル化の先に見える図書館の未来」
    Michael A. Keller (スタンフォード大学図書館長)
   (英日同時通訳付き)

 15:00~15:30
  「知の蔵を繋ぐための情報サービス」
   高野明彦 (国立情報学研究所)

 15:30~15:45 休憩

 15:45~16:45
   Michael A. Keller氏とのQ&A
   (聴き手:高野明彦、英日同時通訳付き)

定員:500名、参加費無料、参加登録不要です

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この研究会のTwitterのハッシュタグは、

#honmirai

である。

當山日出夫(とうやまひでお)

Twitterがつながならいが2010-03-14

2010-03-14 當山日出夫

先ほど、情報学研究所の研究会のことを書いて、さて、Twitterのハッシュタグをおいかけて、どんなようすか見ようとおもったけれど、なんだか、つながらない。まあ、たまには、こんな時もあるだろう。

後で、きちんとつながるようになったら、ゆっくりみよう。かなり、刺激的な内容の講演であった様子がうかがえるので。

なお私のアカウントは、htoym 。當山日出夫 でも検索できるはず。きちんと名前を書いてあるので。

當山日出夫(とうやまひでお)

今日はつながるTwitterそれに研究会と情報発信のこと2010-03-15

2010-03-15 當山日出夫

やはりここはTwitterの名誉のために(?)……今日は、ちゃんとつながっています。ただ、まだ、システム全体としてちょっと不安定なところがあるのかもしれないとおもったり。たとえば、先日、それまでに送受信した、ダイレクトメッセージが消失してしまう、という事態になって、復旧しない。

まあ、たいしたことやりとりはしていないし、電子メールでもメッセージはとどくから、実害は無いのであるが。

これからは、研究会などやって、「どうして、TwitterとUstreamを使えるようにしないのですが…」という問いに答えなければならなくなるだろう。この半年ほどの間の激変に意識がついていける人と、そうでない人の落差が、これから出てくるにちがいない。

情報法は発信するところにあつまる。この意味で、研究会などの開催において、UstreamとTwitterは、実に強力。研究会こそ情報発信の場ではないのか。

當山日出夫(とうやまひでお)

『高橋是清自伝』2010-03-15

2010-03-15 當山日出夫

中公文庫で『高橋是清自伝』を買う。

ふとしたことで、買いそびれていてそのままになっていた。このたび、復刊になったようなので(?)、買った。

これは単なる推測。たぶん、『坂の上の雲』(NHK)の影響かと思う。原作には出てこない(と、記憶する)のだが、テレビのドラマでは、重要な脇役として登場する。

そういえば、『アメリカにおける秋山真之』も朝日文庫で、復刊になった。また、文春文庫で『天皇の世紀』が出ている。たぶん、『坂の上の雲』から『龍馬伝』にいたる番組に対応してのことかなと思う。

ま、理由はどうでもいい。これまで、読みそびれていた本が、読みやすい形で手にはいって読めている。これでいいのである。

當山日出夫(とうやまひでお)

『ARG』418号の感想2010-03-16

2010-03-16 當山日出夫

『ARG』418号についてすこしだけ。今号は、4984部の発行。5000まで、もうすこし。

で、恒例の国立国会図書館のインタビューである。今回は、

連載企画:国立国会図書館若手連続インタビュー(6)
「信頼を最大にする務め-小篠景子さん」

個人的には、小篠さんというとARGカフェのライトニングトークのときの、紙芝居(オニギリの絵)を思い出してしまうのであるが・・・

印象に残った箇所を、一箇所、引用する。

>>>>>

(前略)さっき図書館とか美術館とか文書館を分ける必要ない、ということをおっしゃいましたが、それ以前に、図書館の中でも種類によってずいぶん距離があるんです。

<<<<<

利用者にとっては、国立国会図書館も、公共図書館も、大学図書館も同じように見える。また、古典籍をあつかう分野からすれば、特に、図書館と、博物館・美術館を区分しなければならない特段の理由もなかったりする。しかし、現実には、区分はあるし、さらに、図書館のなかでの「館種」のちがいがある、らしい。このあたり、将来のMLA連携にむけて、まず、図書館の内部でどうにかならないものかと思う。

それから、印象的な箇所としては、インタビューのサブタイトルにもある「信頼感」の問題。これは重要だと思う。そして、それを支えるのは、さりげなく書いてあるが、

・国立国会図書館 - 調達情報
http://www.ndl.go.jp/jp/supply/

かもしれない。公共の機関なんだから当たり前といえば、それまでのことではある。しかし、どのように、図書館の業務が運営されているのかを、きちんと知らせてあるというのは、信頼感につながる。ささえるものである。

當山日出夫(とうやまひでお)

電子図書館と知的生産2010-03-17

2010-03-17 當山日出夫

ようやく、明後日の京大人文研の「東洋学へのコンピュータ利用」セミナーの発表資料を、ととのえた。原稿(論文)の方は、かなり以前に出して(送信して)ある。発表のパワーポイントをつくりながら、まとめのところで考えたこと。

第21回 東洋学へのコンピュータ利用
http://www.kanji.zinbun.kyoto-u.ac.jp/seminars/oricom/2010.html

電子図書館、デジタルライブラリと言っても、ただ、本を読むのが、紙の本から、ディスプレイに変わるだけでは、ただ、それだけのことである。そこで、どのような変化が起こるかがとわれる。このとき、いままで、「読む」ということの視点から、主に、電子図書館は考えられてきたように思う。オンライン配信できれば、いつでも、どこでも、読書、ということが可能になる。この観点では、デジタルミュージアムも同様。

しかし、本は、読んだだけで終わるものではない。そこから、さらに次のステップがある。いってみれば、読書は、知的生産のための一つの作業である。

だからといって、純然たる読書のための読書、読書の楽しみを否定しようとは思わない。だが、それだけではない、実用のための読書もある。この実用のための読書という観点から考えたとき、電子図書館はどのようであるべきだろうか。

たとえば、料理のレシピが、Kindle(当然ながら、防水仕様でなければならないだろうが)で、見ることができたなら、などということを考えてみる。

検索も、引用(コピー)も、また、ちょっとした加工もできないような、ただ、画像データだけの電子図書館……これには、私は、正直いってあまり魅力を感じない。もちろん、無いよりあった方がいい。そして、古典籍の場合は、むししろ、きちんとした画像データの方がほしい。

通常の書籍であれば、自分で自由に、検索したり、コピーしたり、加工したりして使えるテキストデータ、これでなければ、あまり意味がない。この視点が、電子図書館の本当の価値だと思う。そして、逆に、このようなことができない、安定した紙の本としての良さが、従来の本において、見いだせるのではないか。自由に加工できる本がある、ということが、逆に、きちんと安定したテキストへの必要性を感じさせる。

『DVD版内村鑑三全集』をつかうとき、紙の本(岩波版の全集)は、かかせない。紙の本の価値を高めるデジタル出版である、と思うのである。

當山日出夫(とうやまひでお)