『ARG』421号の感想2010-04-08

2010-04-08 當山日出夫

ちょっと遅くなってしまったが、『421』号の感想である。あと3部発行がふえれば、というところ。

今回の羅針盤
「公共図書館Webサービス勉強会の紹介、
そして公共図書館Webサービス勉強会への招待」(笹沼崇、長谷川拓哉)
を読んで思ったこと、すこし、

まず次のような箇所に注目したい。

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それには、多くの公共図書館員が協力し、各館のブレイクスルーのために知恵
を出しあい、一緒に進むためのきっかけをつくることが大事ではないかと考え
ました。最近、特に、図書館界の内輪の勉強会だけでなく、アウェーに出てど
んどん新しいことを吸収しているアンテナの高い図書館員が増えつつあります。

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これをふまえたうえで、現実にはどうであるか、という方向に話しは進んでいく。しかし、基本の姿勢、ものの考え方として、「アウェーに出て」というのは、歓迎したい。

デジタル・ヒューマニティーズ(人文情報学)の分野でも、各種の研究機関があり、また、組織がある。いくつかの、拠点的なものが形成されようとしている。このなかで、みずからが「アウェーに出て」という積極的意欲を持っているところがどれぐらいあるだろうか。

「アウェー」に出る、また、「ホーム」であっても、自由にいろんな多方面の人に呼びかける、この姿勢が大事だと思う。

もちろん、それぞれの研究機関や組織によって、ものの考え方の違いはあるだろう。だが、その違いをふまえたうえでこそ、次のステップにすすめない。まずは、出て行って、来てもらって、話しをする、話しをきく、ここから始めなければと思う。

えてして、人文学の世界は、「羅針盤」で指摘されている公共図書館と同様といったら悪いかもしれないが、タコツボになりがちである。ここは、意図的に、それを超える気概をもたなければ、ただ、黙っていればいいというものではない。

今号の「羅針盤」を読んで、やはり、図書館に期待するところが大きいと感じる。異なる機関や組織で協同しようという意識が、人文学一般の世界にくらべると、非常に強いものがあると感じる。これからの、日本のデジタル・ヒューマニティーズ(人文情報学)は、図書館との連携なしには、先にすすまないだろうし、ここにチャンスを見いだすべきだろうというのが、私の考えるところである。

幸い、近年の、国会図書館、特に関西館・電子図書館の動きは非常に活発である。なんとか、こことは人脈と連絡を途絶えないようにしておきたいと思っている。

當山日出夫(とうやまひでお)