CH87(2)2010-08-02

2010-08-02 當山日出夫

先月31に、皇學館大学(伊勢)であった、CH研究会のつづき。

最初は、小沢一雅さん。古事記崩年干支に関する数理的検討。

日本語史で、それも、いわゆる古代語(近代語に比して)の歴史的研究という分野にいながら、あまり古代史にも、また、考古学にも詳しいといえない。しかも、数学は不得手ときているから、さて、どう考えていいものか、わからないのが正直なところ。

ただ、この小沢さんの一連の、天皇の崩御年についての数理的研究には興味をもっている。おそらく、これまでの文献史学や考古学では生まれてこなかった、斬新な発想にもとづくものだと思う。この意味で、古代史や考古学の専門家が、どのように、小沢さんの研究を見ているのか、きいてみたいところである。

が、どうもCH研究会は、こういう斬新な研究が現れる一方で、その肝心の専門家がなかなか参加してくれないという、ある種の問題点をかかえているように思えなくもない。このあたりが、日本の人文情報学(デジタル・ヒューマニティーズ)のかかえている問題点のひとつであるのかと思う。

ついで、黒崎浩行さん、弓山達也さん、渡辺光一さん、らによる、
日米宗教思想の再構築-思想空間法を用いた体系化の一例
思想空間法-構造化手法と調査データを融合した思想・理念の体系化方法-
の発表。

思想(宗教)というものを、このように「機械的」にとりあつかってしまうことに、違和感を感じる人もいるだろうし、あるいは、斬新な興味を感じる人もいるだろう。このような研究の場合、ただ、工学的な手法を、思想研究にもちこんだというだけではなく、やはり、伝統的な旧来の思想史研究者を納得させるだけの力量が必要になると思う。あえて批判的に見ればであるが、この意味では、非常に面白いのだが、さて、では、普通の宗教学者はどのようにこの発表を聞くのかというあたりが気になるところ。

私個人としては、基本的に、このような斬新な発想に対して常に柔軟な姿勢でありたいと思っている。そのうえで、より、説得力のある研究に発展するにはどうあるべきかを考えてみたい。自分の予備知識のなさであまり良く理解できていない面があるかと思うが、非常に興味深い発表であったと思う。是非、この続きの発表を、いつか聞いてみたいものである。

當山日出夫(とうやまひでお)