『幻燈辻馬車』『警視庁草紙』2011-01-06

2010-12-29 當山日出夫

今年のお正月は、山田風太郎を読んですごした。

『警視庁草紙』(角川文庫.上下巻).山田風太郎.角川書店.2010
『幻燈辻馬車』(角川文庫.上下巻).山田風太郎.角川書店.2010

他に、『戦中派不戦日記』も読もうとおもったが、これは時間がなかった。

最近になって、角川文庫で、山田風太郎を再刊しているのはありがたい。ちくま文庫でもあるのだけれども、角川文庫版は、以前の文春文庫・ちくま文庫などに収録されているときの解説まで収録している。この意味では一番いいのかもしれない。

山田風太郎の明治小説・・・一部の、いわゆる知識層には、絶大な人気がある。たぶん、この方面での山田風太郎を「発見」した早い部類に入るのではなかろうか。たしか、最初に読んだのは、『警視庁草紙』。文春文庫版。学生のころである。その後、書店で、目についた、山田風太郎明治小説は、買って読んできた。(だから、たぶん、ちくま文庫に所収の作品は、ほとんど読んでいるはずである。)

年末、12月は、NHKで、『坂の上の雲』をやっている。普段はテレビは見ないのだが、これは見るようにしている。そして、原作を読もうというよりも(原作は、すでに二回読んでいる)、山田風太郎明治小説が読みたくなる。

坂の上の一朶の白い雲があるとしても、その雲は、影を落としているだろう。山田風太郎は、明治の「光」ではなく「影」を描いている。(おそらく、意識的に。)そして、「光」の部分よりも、「影」の部分に、こころひかれる人間もいる。まあ、時代にのりおくれた人間なのかもしれない。

當山日出夫(とうやまひでお)

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