『丸山眞男 人生の対話』2011-07-01

2011-07-01 當山日出夫

中野雄.『丸山眞男 人生の対話』(文春新書).文藝春秋.2010

著者は、政治思想史の研究者というわけではない。日本開発銀行を経て、オーディオメーカに勤務。そのかたわら、大学で、音楽学の講師などをつとめる。そして、大学時代は、丸山門下であった。という経歴。

非常に気楽に読める。正面からの丸山真男論というわけではない。日常的に、丸山真男のところに出入りして見聞したこと、そのエピソードを、読み物風にまとめてある。とはいいながら、いくつか、丸山真男の思想、ものの考え方がどのようなものであったかについて、筆者なりの見解をしめしてある。

いま、学生が、手始めに読む、「丸山真男論」としては、一番いいかもしれない。

このなかで、なるほどと思った箇所を一カ所。

筆者、大学で、音楽原論を講ずることになって、丸山真男に相談に行ったときのこと。丸山真男は、『音と言葉』(フルトヴェングラー)をすすめた。すでに読んではいたほんであるが、筆者はこのように述懐する。

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「勉強は発表=アウトプットという義務を前提にしているか否かで、身に着き方に天地の差が出る」という冷厳な事実であった。

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なるほど、と思う。個人的経験にてらしても、これで、論文を書かねばならない、発表をしなければならない、というので読む本と、そうではなく、ただ読んでいる本とでは、やはりちがう。

そうは言っても、特に研究発表とか、気にせずに、気楽に読書する楽しみというものもあっていいとは思うのであるが。

當山日出夫(とうやまひでお)

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