『わろてんか』あれこれ「笑いの神様」2017-12-10

2017-12-10 當山日出夫(とうやまひでお)

『わろてんか』第10週「笑いの神様」
https://www.nhk.or.jp/warotenka/story/10.html

前回は、
やまもも書斎記 2017年12月3日
『わろてんか』あれこれ「女のかんにん袋」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2017/12/03/8739898

この週の見どころは、落語家の二人……団吾と団真、それから、お夕である。

芸人、芸能の世界に生きる人間としての悲哀を、それぞれの立場で十分ににじませている。豪遊、道楽三昧をしているような団吾であるが、その一方で芸にかける意気込みは、半端ではない。また、団真……その崇徳院がうまかった。上手なのか、下手なのか、やる気があるのか、ないのか、どうともとれるような不幸なめぐりあわせの落語家を見事に演じていた。さらには、お夕。朝ドラでは何回目かの出演になるはずだが、薄幸な若い女性を演じさせたら、実に似合っている。

このような落語家、芸人の世界を描く一方で、風鳥亭の芸人たちの労働争議、ストライキがコミカルに描かれていて面白かった。実際にそのような騒動があったかどうかは別にして、このような芸人たちと対比される形で、団吾、団真の芸にかけるそれぞれの人生の生き方が、シリアスに、かつ、哀惜を込めて描かれていた。

このドラマは、芸能ビジネスの世界を描いているが、決してお笑いドラマではない。コメディではない。が、しかし、どことなく、登場人物が真剣に演じていればいるほど、どこかしら滑稽を感じさせる。大真面目な人間の生き方ほど、滑稽に見える。それが、別の角度から見れば、芸能の世界に生きる人間の悲哀でもあるのだが。

団吾、団真、お夕は、さらに来週も出てくるようだ。楽しみに見ることにしよう。

追記 2017-12-17
この続きは、
やまもも書斎記 2017年12月17日
『わろてんか』あれこれ「われても末に」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2017/12/17/8749677