『おんな城主直虎』あれこれ最終回「石を継ぐ者」2017-12-19

2017-12-19 當山日出夫(とうやまひでお)

『おんな城主直虎』2017年12月17日、最終回「石を継ぐ者」
http://www.nhk.or.jp/naotora/story/story50/

前回は、
やまもも書斎記 2017年12月12日
『おんな城主直虎』あれこれ「本能寺が変」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2017/12/12/8746748

最終回を迎えて、結局このドラマで描いたのは、井伊谷の井伊から、徳川の井伊へという、大きな流れであったことが分かる。井伊谷の井伊は、直虎(おとわ)で終わる。次の直政からは、徳川の井伊になる。

思い起こせば、最初の回は「井伊谷の少女」であった。井伊谷という土地に生まれた、国衆の娘、おとわ、その成長の物語としてはじまった。今川、徳川、などとの関係のなかで、おとわは直虎になり、井伊谷の土地で生きていくとともに、最後には、徳川の家臣としての井伊家をつくりだすことになる。

総じて見れば、井伊谷という郷土に対するパトリオティズムから、日本という国へのナショナリズムへの橋渡しということになるのかもしれない。ナショナリズムというのが言い過ぎならば、徳川の泰平の世といってもいいだろうか。そして、奇しくも、江戸幕府の最後に幕閣として辣腕を振るうのが、井伊直弼であるというのも、また歴史の偶然かもしれないが興味深い。

さらに蛇足を書けば、このドラマで、前年の『真田丸』と、最後の方で時代が重なっている。遡って『真田丸』になり、徳川の世になって、そして、最後はその徳川もたおれる。

来年の大河ドラマは、西郷隆盛である。徳川を倒した人間を描くことになる。期せずしてこうなったということなのかもしれないが、この一連のドラマの続き方は面白い。

ところで、このドラマを最後まで見てきて、すべての回に出演していたのは、おとわ(直虎)を除けば、ネコ和尚であったことに気付く。そして、井伊谷の井伊から徳川の井伊になっても、龍潭寺は存続していくことになる。龍潭寺はある意味で〈アジール〉的存在といってもいいかもしれない。その龍潭寺は、今日まで存続しているようである。まさに、歴史とともに生きてきた寺である。

また、前作『真田丸』と異なる点としては、龍雲丸のような、いわば自由の民とでもいうべき登場人物の出ていたこと。武士=支配者、農民=被支配者、という枠組みではない設定をしたところも、新鮮であったというべきである。

最後にネコが出てきていた。ネコが直虎のすべてを見ていたということであろうか。

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