「至宝をうつす」京都文化博物館2017-12-28

2017-12-28 當山日出夫(とうやまひでお)

ようやく冬休みで一息つけるかという感じになってきたので、半日、京都まで行ってきた。京都文化博物館の「至宝をうつす」の展覧会を見るためである。

コロタイプ、それもカラーのコロタイプ印刷・複製という技術をもっているのは、今世界で、京都の便利堂だけになってしまっているとのこと。その便利堂の技術とはどんなものか、それによって文化財、特に古典籍・古文書・絵画などの複製の作成は、どのような意義があるのか、という展覧会であった。

今では消失してしまった文化財、それが、写真がとってあって、カラーで複製をつくることができる。この事例として展示してあったのは、法隆寺の壁画、それから、高松塚古墳。これらのもとの姿を見ようとおもうと、今では、カラー複製にたよることになる。

展覧会を見ての印象としては、学術的な利用などで読むための資料としては、冊子体の複製本の方が便利である。だが、現物がどんなであるか、それを感じ取ろうと思うならば、不便ではあるが、巻子本の複製の存在意義がある。また、上述の法隆寺の壁画、高松塚古墳などは、その実際の絵画の大きさというものも、重要な要素である。

法隆寺の壁画は、思いのほかに大きいという印象。逆に、高松塚古墳は、小さいと感じた。このようなことを直に感じるためには、実物大のカラー複製の存在意義というものがある。

そして、このような複製の基本になっているのが、文化財の写真撮影。法隆寺の壁画のガラス乾板は、重文指定になっている。だが、高松塚古墳を写したカラーフィルムは、文化財指定になっていないようだ。これは、今後、文化財としてしかるべく保存する必要があるのではないかと思われる。

ところで、コロタイプ印刷の複製は、私が学生のころからよく勉強に利用したものである。だが、そのとき、先生からの注意事項として、コロタイプは、その印刷の版をつくるときに人為的に手を加えることがあるので、あまり信用してはいけない、ということを教わっている。

ともあれ、今回の展覧会のカラーコロタイプ、それから、今の主流である高精細のオフセット印刷、さらには、デジタルでのアーカイブ、これら、各種の技術をつかって、文化財の研究、保存、教育ということがなされていくことになる。おそらく、これからの時代、高精細のデジタル撮影、あるいは、スキャンということが、技術の核になっていくことだろうと予想している。

ただ、コロタイプだけに限って考えるのではなくて、これから使えるようになるであろう各種のデジタル技術によって、文化財の研究や教育がどのようになっていくか、総合的に考えることがもとめられるだろう。この観点からは、コロタイプは、限りなく、実物に近いところにある技術である。これから、この技術と、最新のデジタル技術の組み合わせによる、文化財の研究・教育が課題であると思った次第である。