『西郷どん』あれこれ「謎の漂流者」2018-02-13

2018-02-13 當山日出夫(とうやまひでお)

『西郷どん』2018年2月11日、第6回「謎の漂流者」
https://www.nhk.or.jp/segodon/story/06/

前回は、
やまもも書斎記 2018年2月6日
『西郷どん』あれこれ「相撲じゃ!相撲じゃ!」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2018/02/06/8783124

牢にいた謎の男……ジョン・万次郎だった。あるいは、その後の名前でいえば、中浜万次郎というべきか。

調べてみると、ジョン・万次郎はたしかに漂流した後アメリカにわたり、その後、琉球、鹿児島経由で、日本にもどってきている。この意味では、ジョン・万次郎の鹿児島滞在の時期が、西郷吉之助と重なっていてもおかしくはない。

このあたりは、史実をもとにしたフィクションということで、うまく作ってあったと思う。

ここで表したのは次の二点になるだろうか。

第一は、どのような人物ににであれ、胸襟を開かせることのできる、ある意味で特異な人物像としての西郷隆盛。ジョン・万次郎に正体をあかさせたのは、西郷の功績ということになる。

第二は、斉彬との関係。どうやら西郷は、斉彬から直々の命をうけて、牢に潜入して、謎の男(ジョン・万次郎)の正体を探ることになったらしい。西郷と斉彬が、どのような主従関係であったのか、このあたりは、考証の難しいところかもしれない。だが、斉彬は、江戸にいたときから西郷に目をつけ、相撲の場で出会うことになり、その後は、直々に言葉をかけてもらうという関係を得た、という展開である。

以上の二点が、歴史上の出来事、考証から考えて、あり得たかもしれないという設定で作ったドラマかと思える。ここのあたりは、かなり大胆に歴史に切り込んでフィクションで描いているところだろう。

フィクションといえば、岩山糸との関係。このあたりも、実際の歴史的事実からすれば、フィクションということになるのだろうが、西郷のその後の人生を描く上で、後に妻となる糸を、このような形で登場させておくことは、興味深く面白いドラマになっていたと思う。

ところで、ジョン・万次郎の話していたことばは、英語か、でなければ、日本語としては土佐ことばであった。土佐の漁師であった万次郎としては、これは当然のことだろう。だが、その土佐ことばで、鹿児島ことばの西郷とも、江戸ことばの斉彬とも、支障なくコミュニケーションできていたというのは、どうだろうか。これは、歴史ドラマにおける方言として、ヴァーチャルな世界でなりたつ設定として見ておくべきことになる。

追記 2018-02-20
この続きは、
やまもも書斎記 2018年2月20日
『西郷どん』あれこれ「背中の母」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2018/02/20/8791072