『湿地』アーナルデュル・インドリダソン2018-02-19

2018-02-19 當山日出夫(とうやまひでお)

アーナルデュル・インドリダソン.柳沢由実子(訳).『湿地』(創元推理文庫).東京創元社.2015 (東京創元社.2012)
http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488266035

調べてみると「このミス」では、2013年の海外第4位である。出た時に話題になった本であることは認識していたが、なんとなく読みそびれてしまっていた。時間ができたので読んでおくことにした。

北欧警察小説ということなのだが、読後感としては、あまり警察小説という雰囲気ではない。確かに、警察官が主人公ではあるのだが。それよりも、アイスランドという北欧の小さな国を舞台にした、かなり特殊な犯罪小説という感じである。

ダイイング・メッセージが残されているのだが、私の読んだ印象では、これを決定的手がかりとして、犯人の判明にいたるということではないようだ。犯人が分かってから、その動機の解釈として、意味をもってくる。

この作品、やはりアイスランドという、小さな国を舞台にしないと成立しない設定になっている。だが、この国の人びとのありかたは、ネットワーク社会になり、また、生命科学の進んだ現代社会の、近未来のあり方を示唆しているとも理解できる。

謎解き開明の探偵小説というよりも、やはり、北欧アイスランドという小さな国を舞台にしての、ある犯罪をめぐる小説として読むのがいいように思える。

さて、次は『緑衣の女』を読むことにする。

追記 2018-02-24
『緑衣の女』については、
やまもも書斎記 2018年2月24日
『緑衣の女』アーナルデュル・インドリダソン
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2018/02/24/8793366

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
このブログの名称の平仮名4文字を記入してください。

コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://yamamomo.asablo.jp/blog/2018/02/19/8790494/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。