『わろてんか』あれこれ「ちっちゃな恋の物語」2018-02-25

2018-02-25 當山日出夫(とうやまひでお)

『わろてんか』第20週「ちっちゃな恋の物語」
https://www.nhk.or.jp/warotenka/story/21.html

前回は、
やまもも書斎記 2018年2月18日
『わろてんか』あれこれ「ボンのご乱心」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2018/02/18/8789842

このドラマ、大正・昭和期の芸能の物語であると同時に、家族の物語でもある。

てんと藤吉は、駆け落ちして二人で寄席を始めたという経緯があった。その二人の子ども、隼也は、どうやらつばきという女性と恋におちてしまったらしい。北村笑店の後継者としての今後は、どうなるのであろうか。

ところで、肝心のマーチン・ショウなのであるが、いったいどんなものなのか分からないままである。ちらりと、当時の影像が映っていたシーンがあったが、それでは今ひとつわからない。

まあ、これは、その当時の人びと……芸能関係にたずさわる人間のみならず、一般の観客である人びとに……にとっても、いきなりアメリカの有名なショウであるからといわれても、ピンとこなかったようなものかもしれない。出資者が集まらないという事情もなんとなく分かろうというものである。

この週にきて、少し時勢のことが出てきていた。いったい昭和10年ごろの、芸能の世界はどんなものだったのだろうか。一般的にみれば、二・二六事件の前夜である。そんなに明るいという印象は持てないのであるが、実際はどんなだったのだろう。

このあたり、昭和の始め、戦前の雰囲気を描いたドラマとしては、私の記憶にある範囲だと、『純情きらり』『おひさま』『カーネーション』とかがある。まだ、日中戦争が本格化する前である。アメリカとの関係も、そんなに悪化してはいなかったということなのであろうか。

このあたりのことについて、世相的な背景についての描写が、もう少し取り込んであると、このドラマも面白いと思うのだが。これから、支那事変ということになり、いよいよ暗い時代になっていくことになる。その時代の流れのなかで、芸能にたずさわる人びとがどのような思いで生きていたのか、そのあたりが描かれると興味深いと思っている。この観点からは、リリコと四郎の今後がどうなるか、気になるところでもある。

このドラマ、北村の家の家族の物語として、今後どのように展開していくことになるのか、隼也の恋のゆくえ、このところも注目して見ていきたいと思う。

追記 2018-03-04
この続きは、
やまもも書斎記 2018年3月4日
『わろてんか』あれこれ「夢を継ぐ者」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2018/03/04/8797434