『西郷どん』あれこれ「慶喜の本気」 ― 2018-04-17
2018-04-17 當山日出夫(とうやまひでお)
『西郷どん』2018年4月15日、第14回「慶喜の本気」
https://www.nhk.or.jp/segodon/story/14/
前回は、
やまもも書斎記 2018年4月10日
『西郷どん』あれこれ「変わらない友」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2018/04/10/8822850
やはりNHKは、江戸城の大奥のセットよりも、品川の妓楼、磯田屋のセットの方にコストをかけているとみえる。
見どころはいくつかあった。
第一には、西郷吉之助と井伊直弼の、茶室での対面のシーンである。たぶんこれはフィクションだろうと思うのだが、もしあったとしたらさもありなんという展開であった。
ここで井伊は、徳川の譜代として徳川家のために動いている。一方で、西郷は、日本の国のために行動している、このような場面であった。井伊が徳川家のためにというのはわかるのだが、西郷の方は、もう一つ屈折している。西郷は、藩主、斉彬のために行動している。その斉彬が、日本という国のことを思っている。故に、西郷は、日本という国を考えていることになる。斉彬への忠誠心が、そのまま日本という国へのナショナリズムに連続的につながっている。
ここでは、西郷が、自らの判断、知見として、日本国のためにという目的で行動しているわけではない。西郷が、自身の判断で、日本という国を意識するようになるのは、今後の展開を待ってということになるのかもしれない。(たぶん、それは、斉彬の死という出来事を経て後のことになるのだろうが。)
第二には、一橋慶喜。橋本左内と、西郷吉之助の両名をひきつれて、行動していた。このあたりの展開も、フィクションにちがいないのだろうが、なんとなくかっこよかった。いかにも、時代劇であるという展開。
以上の二つぐらいが、印象に残っているところであろうか。
時代は幕末である。これから時代がどのように動いていくか、その渦中の中の人びとにはわからない。だが、今の我々は、歴史の結果を知っている。徳川はほろび、明治政府ができる。その最後の将軍となるのが慶喜であり、幕府を倒す総大将になるのが西郷である。その二人が、ドラマのここまでのところでは、橋本左内をふくめて、盟友として行動しているかのごとくである。今後、これらの人物がどうなっていくかが楽しみである。(無論、橋本左内がどうなるかは、歴史の結果を今日の我々は知っているのではあるが。)
ともあれ、これから、西郷がどのような人物として成長していくかが、興味のあるところである。
しかし、これも難しいところかもしれない。「西郷」という人格のなかに、明治維新をなしとげたまさに「西郷隆盛」としか言いようのない何かがある、と同時に、幕末から明治にかけて歴史を動かした策士という側面もあろう。これらを、一人の人間のなかにどのように描いていくか、これから楽しみに見ることにしよう。
これから起こる大きな歴史的事件としては、安政の大獄と、斉彬の死、ということになるのだろう。歴史の結果を知っていながらも、楽しめる歴史ドラマになると期待している。
追記 2018-04-24
この続きは、やまもも書斎記 2018年4月24日
『西郷どん』あれこれ「殿の死」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2018/04/24/8832129
『西郷どん』2018年4月15日、第14回「慶喜の本気」
https://www.nhk.or.jp/segodon/story/14/
前回は、
やまもも書斎記 2018年4月10日
『西郷どん』あれこれ「変わらない友」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2018/04/10/8822850
やはりNHKは、江戸城の大奥のセットよりも、品川の妓楼、磯田屋のセットの方にコストをかけているとみえる。
見どころはいくつかあった。
第一には、西郷吉之助と井伊直弼の、茶室での対面のシーンである。たぶんこれはフィクションだろうと思うのだが、もしあったとしたらさもありなんという展開であった。
ここで井伊は、徳川の譜代として徳川家のために動いている。一方で、西郷は、日本の国のために行動している、このような場面であった。井伊が徳川家のためにというのはわかるのだが、西郷の方は、もう一つ屈折している。西郷は、藩主、斉彬のために行動している。その斉彬が、日本という国のことを思っている。故に、西郷は、日本という国を考えていることになる。斉彬への忠誠心が、そのまま日本という国へのナショナリズムに連続的につながっている。
ここでは、西郷が、自らの判断、知見として、日本国のためにという目的で行動しているわけではない。西郷が、自身の判断で、日本という国を意識するようになるのは、今後の展開を待ってということになるのかもしれない。(たぶん、それは、斉彬の死という出来事を経て後のことになるのだろうが。)
第二には、一橋慶喜。橋本左内と、西郷吉之助の両名をひきつれて、行動していた。このあたりの展開も、フィクションにちがいないのだろうが、なんとなくかっこよかった。いかにも、時代劇であるという展開。
以上の二つぐらいが、印象に残っているところであろうか。
時代は幕末である。これから時代がどのように動いていくか、その渦中の中の人びとにはわからない。だが、今の我々は、歴史の結果を知っている。徳川はほろび、明治政府ができる。その最後の将軍となるのが慶喜であり、幕府を倒す総大将になるのが西郷である。その二人が、ドラマのここまでのところでは、橋本左内をふくめて、盟友として行動しているかのごとくである。今後、これらの人物がどうなっていくかが楽しみである。(無論、橋本左内がどうなるかは、歴史の結果を今日の我々は知っているのではあるが。)
ともあれ、これから、西郷がどのような人物として成長していくかが、興味のあるところである。
しかし、これも難しいところかもしれない。「西郷」という人格のなかに、明治維新をなしとげたまさに「西郷隆盛」としか言いようのない何かがある、と同時に、幕末から明治にかけて歴史を動かした策士という側面もあろう。これらを、一人の人間のなかにどのように描いていくか、これから楽しみに見ることにしよう。
これから起こる大きな歴史的事件としては、安政の大獄と、斉彬の死、ということになるのだろう。歴史の結果を知っていながらも、楽しめる歴史ドラマになると期待している。
追記 2018-04-24
この続きは、やまもも書斎記 2018年4月24日
『西郷どん』あれこれ「殿の死」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2018/04/24/8832129
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