『西郷どん』あれこれ「正助の黒い石」2018-05-29

2018-05-29 當山日出夫(とうやまひでお)

『西郷どん』2018年5月27日、第20回「正助の黒い石」
https://www.nhk.or.jp/segodon/story/20/

前回は、
やまもも書斎記 2018年5月22日
『西郷どん』あれこれ「愛加那」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2018/05/22/8857049

どうでもいいことかもしれないが、桜田門外の変の描写が、あまりにショボかった。これなら、井伊直弼はナレ死でもよかったのでなかったろうか。

それはともかく、今回の主役というべきは大久保正助。

一般の明治維新の歴史では、怜悧な策謀家という印象ではないだろうか。西郷が、その人格で人びとの人望をあつめているのに対して、政治の実務の面で明治政府をつくっていった。そして、最後には、西南戦争では、敵となることになる。そのような歴史の結果とでもいうべきものを知っている我々に、実は大久保というのは・・・と訴えかける内容になっていた。

怜悧な策謀家という面をもちながらも、その内側には、日本を思い、薩摩を思う、熱い情熱がみなぎっている。だが、彼は、その情熱の赴くままに行動することがない。政治の現実の前で、何をなすべきか、何ができるのか、考えることになる。そのような正助の姿を、まわりの精忠組の若者たちは、理解できないようである。正助は孤独をふかめる。このような大久保の姿を、脚本は描いていた。

さりげないシーンであったが、印象的だったのは、子供(赤ん坊)の寝姿を見つめるところ。怜悧な策謀家という印象でありながら、ふと見せた、人間的で家庭的な一面であったのかもしれない。

桜田門外の変を経て、これから幕末の薩摩藩の動きが描かれることになる。そのなかで、大久保はどのような役割を担うことになるのであろうか。次週は、西郷の帰還に話しがいきそうである。楽しみに見ることにしよう。

追記 2018-06-05
この続きは、
やまもも書斎記 2018年6月5日
『西郷どん』あれこれ「別れの唄」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2018/06/05/8874400