日曜劇場『この世界の片隅に』第四話2018-08-08

2018-08-08 當山日出夫(とうやまひでお)

TBS日曜劇場『この世界の片隅に』第四話
http://www.tbs.co.jp/konoseka_tbs/story/v4.html

前回は、
やまもも書斎記 2018年8月1日
日曜劇場『この世界の片隅に』第三話
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2018/08/01/8929763

第四話を見て感じるところは、次の二点である。

第一には、径子とその子どもたちとの話し。

原作(漫画)では、径子とその子どもたちとのことはそんなに出てきてはいない。だが、岡田惠和の脚本では、径子の出戻りの一件が、ドラマの重要な位置をしめるものとしてあつかわれている。これはこれとして、戦前の家族制度のもとでの、一つのエピソードとして、しんみりと感じさせる作り方になっている。ここは尾野真千子、それから、子役がうまい。

第二には、リンをめぐる疑惑。

周作には以前に好きな女性がいたのかもしれないという思いに、すずはかられる。その相手が、リンときまったわけではないが、どうやらそうらしいという雰囲気である。

原作(漫画)では、すずとリンの「友情」とでもいうべきものが、どこかしら幻想的に描かれていたと感じるのであるが、このドラマでは、そうではないように思える。原作(漫画)を確認すると、確かに茶碗のリンドウの絵のことから、竹藪で竹槍の竹を切るところ、そして、リンの姿を連想するあたりのことが描かれている。また、ノートの表紙を切って、リンの名前を書いた(らしい)ことも出てくる。

だが、これは、漫画という表現で描いてあるから、何かしらほんのりとした感じがある。これをドラマにしてしまうと生々しくリアルな印象を感じてしまう。たしかに原作(漫画)に忠実に作ってあるのだが、しかし、このあたりは、漫画のドラマ化という点では、難しいところかもしれない。

以上の二点が、この回を見て感じるところである。が、ともあれ、これはこれなりにうまく作ってあると感じさせる。

ところで、この回のキーワードは、「居場所」と「代用品」であろうか。自分は、ひょっとすると、周作にとっての「代用品」なのかもしれないという気持ちが、すずのなかにはあるようだ。だが、それでも、日々の生活のなかで、自分の「居場所」を見つけていかなければならない。このドラマは、最終的に、すずという女性の「居場所」がどこに定まるのか、というところに落ち着くような気がしている。これは、原作(漫画)を読んで感じることでもあるのだが。

どのような時代になったとしても……戦争があってもなくても……「この世界の片隅に」はどこかにそれぞれの「居場所」がある……このようなメッセージが、原作(漫画)からは伝わってくる。それを、このドラマはどう描くことになるのであろうか。次回を楽しみに見ることにしよう。

追記 2018-08-15
この続きは、
やまもも書斎記 2018年8月15日
日曜劇場『この世界の片隅に』第五話
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2018/08/15/8942116