『アフターダーク』村上春樹2019-04-13

2019-04-13 當山日出夫(とうやまひでお)

アフターダーク

村上春樹.『アフターダーク』(講談社文庫).講談社.2006 (講談社.2004)
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000204238

『海辺のカフカ』につづけて読んだ。

やまもも書斎記 2019年4月11日
『海辺のカフカ』(上)村上春樹
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2019/04/11/9058266

やまもも書斎記 2019年4月12日
「海辺のカフカ」(下)村上春樹
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2019/04/12/9058693

この小説は、浮遊する視点の物語である。

深夜のファミレスからスタートする。そして、その夜明けまでの各種のできごとが、さまざまな視点から語られる。その視点に一貫性は無いように感じられる。これを、私は、視点が浮遊していると感じて読んだ。

普通、一般に小説というのは、物語る視点は固定されているものである。時に、それが、いくつか入れ替わることはあっても、基本的に揺れることはない。

だが、この小説の視点は、あたかも鏡に映った像のように、時として、視点が交錯する。そして、一箇所にとどまることがない。この世界を宙空にただよって、あるいは近づき、あるいは遠のきしながら、複数の登場人物の間をゆれうごく。

それから、この作品でも出てくるのが「眠り」。人が眠っている時間とは、その人にとって何であるのだろうか。村上春樹の作品には、これまで読んだものにおいても、「眠り」と「夢」が出てきている。おそらく、村上春樹作品を読み解くキーになるのが、「眠り」であり「夢」であることは理解される。

村上春樹の作品を、ほぼ年代をさかのぼって、長編を読んでいっている。次に読もうとおもっているのは、『スプートニクの恋人』。

追記 2019-04-15
この続きは、
やまもも書斎記 2019年4月15日
『スプートニクの恋人』村上春樹
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2019/04/15/9059902