『ねじまき鳥クロニクル』(第1部)村上春樹2019-04-19

2019-04-19 當山日出夫(とうやまひでお)

ねじまき鳥クロニクル(1)

村上春樹.『ねじまき鳥クロニクル』(第1部 泥棒かささぎ編)(新潮文庫).新潮社.1997(2010.改版) (新潮社.1994)
https://www.shinchosha.co.jp/book/100141/

『国境の南、太陽の西』につづけて読んだ。

やまもも書斎記 2019年4月18日
『国境の南、太陽の西』村上春樹
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2019/04/18/9061185

不思議な小説だなあ、というのが第一部を読んでの感想。

特に、最後の方に出てくるノモンハンでのできごと。なかんずく、井戸に落ちること。これは何を意味しているのだろうか。常識的に考えれば、井戸はこの世とあの世の通り道。境界である。あるいは、井戸におちるということで、一度、死の体験を擬似的に経るとでも解釈できるだろう。

そういえば、主人公の家の裏の路地。これも、どうやら異界への入り口のようにも解釈できる。

村上春樹の作品を読んでいると、この世界が、ふとしたことで別の世界に反転してしまうような感覚になることがある。

ともあれ、村上春樹の作品をさかのぼって読んでいるのだが、この『ねじまき鳥クロニクル』においても、村上春樹ワールドとでもいうべき感覚の中にひたることになる。1994年、平成になってからの作品である。平成という時代、それまでのリアリズムの発想ではとらえることのできない、奇妙な異次元の世界を描いているとでも言ったらいいのだろうか。その異次元の世界も、どこか特別なところにあるというのではなく、ごく普通の日常生活の裏側にある、そんな感覚である。

次の第二部を読むことにしたい。

追記 2019-04-20
この続きは、
やまもも書斎記 2019年4月20日
『ねじまき鳥クロニクル』(第2部)村上春樹
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2019/04/20/9061932

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