『村上朝日堂』村上春樹・安西水丸2019-09-16

2019-09-16 當山日出夫(とうやまひでお)

村上朝日堂

村上春樹.安西水丸.『村上朝日堂』(新潮文庫).新潮社.1987(2007.改版) (若林出版企画.1984)
https://www.shinchosha.co.jp/book/100132/

続きである。
やまもも書斎記 2019年9月14日
『フラニーとズーイ』村上春樹訳
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2019/09/14/9153219

上述の書誌を書いて気付いたのだが、この本は、「共著」である。本のどこにも、村上春樹(文)とか、安西水丸(絵)、とか書いていない。また、新潮社のHPを見ると、二人の名前が書いてあって、両方共に「著」としてある。

つまり、この本は村上春樹の文章がメインで、それに安西水丸の絵がついているというのではなく、二人が同時に、この作品を書いているという認識なのである。読んで見ると、それほどまでに、文章と絵の息がぴったりとあっている。

さらに、読んで行くと、最後になって、文を安西水丸が描いて、絵を村上春樹が書いているものが、「付録」として載っている。これは、完全に、対等な二人の共著とすべきものだろう。

そういえば、であるが……文章と絵の組み合わせとして思いうかぶこととしては、新潮文庫だったと思うが、山藤章二の絵で、本文をいろんな作家が描いてというのが、かなり出ていたのを憶えている。(まだ、今でも買えるのだろうか。)主に、私の学生のころのことである。これは、かなり買って読んだと憶えている。

それはさておき、この本は、『日刊アルバイトニュース』に連載されたものである。だから、想定される読者としては、『日刊アルバイトニュース』の購読者ということになる。そのせいもあるのだろうか、実にのびのびとした文章である。また、絵である。

これは気楽に読めばいいのだと思う。だが、そうはいっても、村上春樹の作品世界を理解するうえで、重要なキーになる箇所が、いくつかある。ああ、なるほど、こういう文章を書くことが背景にあって、あの長編作品はあるのか、なんとなく納得するような、あるいは、意外に感じるようなところがある。どのようなところにそれを感じるかは、読者それぞれの自由ということなのだろうが。たとえば、村上春樹は中華料理が食べられない、ラーメンでさえだめである……このようなことが書いてあるのだが、さて、これは村上春樹文学の理解に役立つであろうか。

ところで、どうでもいいようなことかもしれないが、読んでいて、作中に『鷲は舞い降りた』が登場する。懐かしい本である。出てくるのはタイトルだけで、その中身についての言及はない。気になって、さっそく調べてみた。すると、この本は今でも売っている。しかも、続編の『鷲は飛び立った』もある。どうしようか、ここは、ちょっと脇道にそれて、再度この作品を読み返したい気分になってきた。

が、ともかく次は、翻訳としてグレイス・ペイリーを読むことにする。

追記 2019-09-18
この続きは、
やまもも書斎記 2019年9月18日
『人生のちょっとした煩い』グレイス・ペイリー/村上春樹訳
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2019/09/18/9154935

追記 この続き(村上朝日道)は、
やまもも書斎記 2019年9月20日
『村上朝日堂の逆襲』村上春樹・安西水丸
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2019/09/20/9155648

追記 2019-10-04
『鷲は舞い降りた』については、
やまもも書斎記 2019年10月4日
『鷲は舞い降りた』ジャック・ヒギンズ
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2019/10/04/9160917

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
このブログの名称の平仮名4文字を記入してください。

コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://yamamomo.asablo.jp/blog/2019/09/16/9154069/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。