NHK『牡丹燈籠 異聞 「お露と新三郎」』2020-01-02

2020-01-02 當山日出夫(とうやまひでお)

NHK BSプレミアム 牡丹燈籠 異聞 「お露と新三郎」
https://www4.nhk.or.jp/P5858/x/2019-12-28/10/303/2609555/

暮れの28日の放送であったのを、録画しておいて、大晦日の日に見た。

NHKの制作の『怪談牡丹燈籠』は、その放送のときに見ている。

やまもも書斎記 2019年10月10日
NHK『怪談牡丹燈籠』巻の壱「発端」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2019/10/10/9163196

やまもも書斎記 2019年10月17日
NHK『怪談牡丹燈籠』巻の弐「殺意」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2019/10/17/9165794

やまもも書斎記 2019年10月24日
NHK『怪談牡丹燈籠』巻の参「因縁」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2019/10/24/9168365

やまもも書斎記 2019年10月31日
NHK『怪談牡丹燈籠』巻の四「復讐」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2019/10/31/9171127

今回のこのドラマは、『怪談牡丹燈籠』から、お露と信三郎の話の部分だけを抜き出して、再構成したもの。これはこれとして、独立したドラマとなるように作ってある。

「牡丹燈籠」といえば、「カランコロン」の下駄の音。お露の幽霊の話しがメインのイメージがある。しかし、原作というか、円朝の語った「牡丹燈籠」の話しは、これは、むしろ脇役的で、お国(ドラマでは尾野真千子)の話しの方が本筋ということになる。そして、因果応報の物語である。

もとの『怪談牡丹燈籠』をうまく使って、新しい物語を作ったという印象である。これは、見ていて、やはり、その映像美と音楽の良さに引き込まれるようなところがあった。

だが、強いていえば、特殊メイクや、アクションシンーン、特撮技術など……これらの最新の技術は無くてもよかったような気もしてならない。幽霊となったお露の声など、特殊効果を出さなくても、役者の演技だけで十分に表現することができただろう。また、それができる役者であったと思う。最新の特殊映像技術に凝って作ったのはいいのだが、ある意味では、それがマイナスにはたらいてしまった感じがどうしてもある。

そうはいっても、このドラマ(録画であるが)、一気に引き込まれるように見てしまった。ストーリーの行く末は分かってはいるのだが、そこをどう表現して見せてくれることになるのか、興味深かった。そして、見ながら思ったことは、一〇月の放送(四回)を作った時点で、この「異聞」編のことも考えてあったのだろうか、ということである。それほどまでにこのドラマの完成度は高いと感じるところがある。

二〇一九年のうちに放送があって、録画してあるドラマというと、「ストレンジャー」がある。これについても、追って書くことにしたい。これは、お正月にでも見ることにしよう。

2019年12月31日記