『エール』あれこれ「初めてのエール」2020-04-05

2020-04-05 當山日出夫(とうやまひでお)

『エール』第1週「初めてのエール」
https://www.nhk.or.jp/yell/story/week_01.html

『スカーレット』にひきつづき、『エール』も見ている。この『エール』から、週に五日の放送になった。月曜から金曜まであって、土曜日は、そのまとめという感じで進行するようだ。

このドラマは、古関裕而がモデルである。古関裕而の名前を知らない人でも、その手になる音楽を耳にしたことのない人はおそらくいないのではないだろうか。

このドラマを見るまえに思っていたことなど書けば次の二点になるだろう。

第一に、古関裕而は、昭和の戦前から戦後にかけて生きた人物である。その生涯は、大正から昭和にまたがる時代になっている。まさにその時代の日本とともにあったということになる。その作曲家としての人生も、昭和という時代とともにあった。このドラマでは、その昭和という時代の流れをどのように描くことになるのだろうか、という興味がある。

第二、そのような古関裕而の音楽には、いわゆる軍歌もふくまれる。この『エール』というドラマが作られるということを目にしたとき、まず思ったのは、戦時中の軍歌をどのように描くことになるのだろうか、ということである。いやいやながら軍に協力したことになるのか、それとも、時代の流れのなかで、おのずとそうなったというふうに描くことになるのか。いずれにせよ、このドラマで、一番気になっているところである。

以上の二点が、このドラマが古関裕而をモデルにしているということで思ったことである。

そして、実際にドラマの第一週を見て思うこととしては、次の二点がある。

第一に、大正という時代の地方都市の子どもとしての描き方。主人公(裕一)には吃音がある。また、運動もあまり得意ではない。喧嘩も弱い。だが、音楽には才能がある。その才能を目覚めさせてくれたのは、学校の先生だった。このあたりは、自然に音楽の道に進むことになるであろう、将来を予見させる描き方だったと思う。

第二に、その時代背景。途中、「赤い鳥」のことが出てきていた。まさに、「赤い鳥」によって、近代の日本の「子ども」が発見されてきたということができようか。また、蓄音機もあった。蓄音機の登場ということが、近代の日本の音楽にはたした役割は大きなものがあるだろう。さらに、賛美歌も登場していた。賛美歌も、近代の日本の音楽の歴史を考えるうえでは欠かすことのできない存在である。

ただ、この週では、学校唱歌があまり出てきてはいなかった。これは、意図的にそのように作っているのかという気もしないではない。

以上の二点が、第一週の放送を見て思うことなどである。

次週は、将来の裕一の妻になる音の少女時代のことになるようだ。楽しみに見ることにしよう。

2020年4月4日記

追記 2020-04-12
この続きは、
やまもも書斎記 2020年4月12日
『エール』あれこれ「運命のかぐや姫」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2020/04/12/9234473